バルセロナ新監督候補の最右翼、シャビが語った「バルサイズムの神髄」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 10月27日、FCバルセロナはラージョ・バジェカーノに敵地で1-0と敗れた後、ロナルド・クーマン監督の解任を発表した。解任自体には何の驚きもなかった。国内リーグは9位に低迷し、チャンピオンズリーグ(CL)もグループリーグ敗退危機と瀬戸際に立っている。

 急遽、バルサBの監督であるセルジ・バルフアンが"内部昇格"で、トップチームを率いることになった。すでにトップの選手に挨拶し、トレーニングを担当。週末(10月30日)のアラベス戦、週明けのCLディナモ・キエフ戦、そしてセルタ戦までの暫定監督を務める公算が高い。

「今はアル・サッドに集中している。他のことを話せない」

 新監督の本命と言われるシャビ・エルナンデスだが、現時点ではカタールのアル・サッドを率いており、本人は公式に何も語れない状況である。アル・サッドとは「バルサ監督就任の場合は契約解除可能」という条項はあるが、「せめて11月3日の試合まで」と引き留められているという。その後は代表戦ウィークとなるセルタ戦の後が次のターニングポイントになりそうだ。

現在はアル・サッド(カタール)を率いているシャビ・エルナンデス現在はアル・サッド(カタール)を率いているシャビ・エルナンデスこの記事に関連する写真を見る セルジにせよシャビにせよ、新体制がすべきことは「バルサらしさ」を取り戻すこと。すなわちクーマン・バルサを「反面教師」にすることだろう。

 クーマンの監督解任で意外だったのは、タイミングだけだ。

 宿敵レアル・マドリードに本拠地カンプ・ノウで敗れたクラシコのあと、クラブはクーマンのクビを見送った。解任による違約金1200万ユーロ(約15億円)は簡単に捻出できず、クラブ幹部も「再建には時間がかかる」と続投の意志を示していた。

 ただラージョ戦後、事態は一気に深刻化した。予算規模で20分の1以下、昇格したばかりのクラブに敗北。それも攻め続けて運悪く負けたのではなく、互角に組み合って勝てなかった。9月にCLで強豪バイエルンに歯が立たずに敗れた一戦を上書きするショックを与えた。

<クーマンの底が見えた>

 端的に言えば、それがクーマン解任の理由だ。

 クーマンは身勝手なところがあり、傲慢な言動を繰り返してきた。

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