バルセロナ新監督候補の最右翼、シャビが語った「バルサイズムの神髄」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 10代の選手のミスを糾弾して吊し上げ、主将を前半途中で引っ込め、「このチームでCL優勝は奇跡」と居直った。一方で昨シーズン飛躍したペドリについては、まるで自分の手柄のように語り、「会長は余計なことを言うな」と不遜に言い、ことあるごとに契約を振りかざした。

 バルサイズムも真っ向から否定している。守備の再建を目指すも、結果は選手に失敗への恐怖感を植えつけただけだった。バックラインは下がり、前線は居残り、自慢の中盤が孤立。満足にパスをつなげず、攻撃的姿勢がとれなくなった。その結果、強豪に無残に敗れただけでなく、格下にも後れをとったのである。

「こんなリーダーは要らない」という典型の人だった。リオネル・メッシの移籍など言い訳にならないだろう。自らの要望で獲得したルーク・デ・ヨングが早くも限界を露呈し、干して追い出したルイス・スアレスには10月2日のアトレティコ・マドリード戦で鉄槌を食らっているのだ。

 週末のアラベス戦はほとんど準備もできない状況で迎えることになるが、セルジ暫定監督が誰を先発で送り出すのか。それは不明だが、下部組織であるラ・マシア出身者を中心に据えるのは間違いない。バルサが積み上げてきた「ボールありき」のサッカーへの回帰だ。

 クーマンも最後はラ・マシア組を起用していたように、言わば百花繚乱の状況にある。DFエリック・ガルシア、ロナルド・アラウホ、オスカル・ミンゲサ、アレハンドロ・バルデ、MFニコ・ゴンサレス、ガビ、リキ・プッチ、FWアンス・ファティ、アレックス・コジャド。彼らは時間をかけてバルサのプレーを身につけており、ジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルト、セルヒオ・ブスケツという経験豊かなラ・マシア組もいる。

 ただし、監督としてのセルジの力量は見守る必要もある。

 2015年4月、1部アルメリアをシーズン途中で率いた時は、プレー内容は高い評価を受けたが、降格を免れなかった。次のシーズンは2部で大量補強したものの、序盤で解任された。2017年4月、2部マジョルカでもシーズン途中にチームを任されたが、降格させてしまった。2017年11月には、中国2部リーグの杭州緑城を1部に導けずに解任されている。今シーズンからバルサBを任されるが、「クーマンのほうがマシでは」という意見もあったのは確かだ。

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