一時は絶滅も!? 攻撃の花形・ウイングの歴史。ネイマールら最新のプレースタイル (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 縦のスペースへ進入する役割はサイドバックがこなすようになったので、ウイングはカットインのほうがメインになってきたのだ。マンチェスター・シティのリヤド・マフレズ(アルジェリア)のように、スペシャリストも現在はむしろ逆足になっている。

 1990年代初頭は、前記したアヤックスなどウイングの復活が見られた。といっても、アヤックスのほかはオランダ代表とヨハン・クライフ監督のバルセロナなので、すべてオランダがらみではある。

 システムは3-4-3、ユーロ92のオランダは右がルート・フリット、左にブライアン・ロイと順足の両サイド。しかし、アヤックス由来の3-4-3にもかかわらずバルセロナは逆足の選手が配置された。さらに、ウイングというよりストライカーを起用している。

 右ウイングのフリスト・ストイチコフ(ブルガリア)は左足の強シューターだ。クロスではなくシュートに期待するなら逆足のほうがいい。もっとも、クライフ監督は右利きのガリー・リネカー(イングランド)を右ウイングで起用するなど、利き足とサイドの関係は固定的ではない。それよりもサイドにストライカーを置きたかったのだろう。

 自らの現役時代がそうだったように、センターフォワードを自由にするにはウイングのポジショニングで相手のディフェンスラインをピン止めする必要があり、偽9番が空けた中央でのフィニッシュワークに、優れた選手を使いたかったと考えられる。

 現代のウイングは逆足が多く、カットインからのパス、シュートに威力のあるタイプがインサイドフォワードとしての役割を担っている。近年ではロナウジーニョ(ブラジル)がその典型で、現在活躍する多くの偽ウイングの元祖と言えるかもしれない。

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