久保建英の第2章。復帰するマジョルカの現状とレアルでプレーするためのシナリオ (2ページ目)
バスクの雄であるレアル・ソシエダは、右サイドに右利きを置くことがしばしばで、ポルトゥ(クリスティアン・ポルトゥゲス・マンサネラ)がファーストチョイスだった。他に左利きのアドリアン・ヤヌザイ、両サイドができるアンデル・バレネチェアもおり、多士済々だ。また、インサイドハーフもダビド・シルバ、ミケル・メリーノなどスペイン代表級の左利き選手がいた。主要システムは4-3-3で、トップ下はない。
こうしてみると、久保は主力として戦うチームとして、レアル・ソシエダという選択肢は難しかった。ポジションを見つけられず、ベンチを温める機会が多くなる可能性は高い。昨シーズンと同じ轍は踏めないだろう。
2年前に足跡を記したマジョルカはベターな選択だった。
一度は降格したマジョルカだが、昨季はルイス・ガルシア監督に率いられて2部を戦い抜き、1部昇格を果たした。今も、久保とチームメイトだった古参組が多い。GKマノーロ・レイナ、DFマルティン・バリエント、MFサルバ・セビージャ、ダニ・ロドリゲス、昨シーズンのチーム得点王FWアブドン・プラッツなどが健在。強面のセビージャは37歳になるが、昨シーズンは7得点で攻守に奮戦し、"ボス"の座を譲っていない。
ただ、現有戦力だけでの1部残留は厳しいだろう。そこでマジョルカは、残留のためにアンヘル・ロドリゲス(ヘタフェ)など戦力補強を積極的に行なっている。久保は6人目の補強選手となる。
久保の定位置である右サイドには、ライバルとしてバルサ下部組織時代に脚光を浴びていたジョルディ・ムボウラがいる。ムボウラはユース時代にモナコに移籍したが、その後は伸び悩み。今も十分にプロの世界のプレーに適応しきれてはいない。おそらく久保が、右サイドを中心に攻撃を引っ張ることになるだろう。
ビジャレアル、ヘタフェでは確かに指揮官の信頼を勝ち取りきれなかったが、チームのプレーコンセプトの問題が大きく、攻撃能力自体は高く評価されていた。その技術は、どんな相手、どんな舞台でも、敵に恐れを与えられる。その度胸のよさは、東京五輪でのグループリーグ3試合連続得点などにも現れている。
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