バルサの財政問題で足元から揺らぐリーガ。メッシもついに無所属に (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

◆中田英寿を上回る天才に起きた悲劇。リーガに「ぶっとんだ自信」で挑んだ

 新時代の象徴になり得るのは、PSGと交渉中のキリアン・エムバペか。爆発的な走力と得点力は、単純にスペクタクル。レアル・マドリード向きの選手だろう。今月、エムバペ本人があらためてPSGとの契約延長を拒否し、マドリード移籍の筋道ができたと言われる。フロレンティーノ・ペレス会長は、8月末の移籍マーケットが閉まる直前に有力選手との契約をまとめてきた剛腕。虎視眈々といったところか。

 最後に、王者として新シーズンに挑むアトレティコ・マドリードの動きは緩やかだ。ディエゴ・シメオネ監督は昨シーズン、チームのアップデートに成功。マイナーチェンジはあるが、成熟のシーズンになるだろう。

 ブラジルのフルミネンセに所属する20歳の元ポルトガルU-19代表アタッカー、マルコス・パウロの獲得が内定し、代わりにスペイン代表の攻撃的MFビトーロをヘタフェに放出している。また、ウディネーゼのアルゼンチン代表セカンドアタッカー、ロドリゴ・デ・パウルとの契約も決定的。あとはMFサウール・ニゲスを引き留められたら、言うことはないだろう。

 コロナ禍もあって、市場の動きは総じて静かに映る。伏兵レアル・ソシエダはシャビ・アロンソが率いるBチームが2部に昇格し、トップチームにも選手を供給することになりそうだ。こうした育成型クラブが幅を利かせるシーズンになるかもしれない。

 日本人選手は、例年になく苦戦を強いられている。久保は国内1部へのレンタルが有力だが、移籍先は決まっていない。岡崎慎司、乾貴士はクラブを退団し、武藤嘉紀もニューカッスルとの契約がどうなるかわからず、柴崎岳のレガネスは昇格できなかった。彼らが1部でプレーする可能性は低い。日本人にとっても、リーガの先行きは不透明と言える。

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