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ユーロの本命に躍り出たイングランドに穴はないのか。準決勝以降の見どころポイント (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 一方、イタリアのロベルト・マンチーニ監督とスペインのルイス・エンリケ監督に迷いはない。イングランドには4-3-3で向かっていくだろう。

 ブックメーカーが優位と見ているのはイタリアだ。決勝トーナメント1回戦までは、スペインを推していたが、準々決勝が終わると、僅差ながら両者の順位を入れ替えた。スペインよりイタリアのほうが、準々決勝の戦い方がよかったからにほかならない。

 イタリアとスペインは、ユーロでは過去3大会(2016年、2012年、2008年)、毎度対戦している。いずれも守備的なイタリア対攻撃的なスペインと相場は決まっていた。たとえばユーロ2012のグループリーグ。グダニスク(ポーランド)で行なわれた一戦では、4-3-3のスペインに対し、イタリアは3-5-2(5-3-2)で、がっちり守ろうとしたものだ。

 そのイタリアが今回は、初戦から4-3-3で押し通している。ユーロの舞台でイタリアがここまで攻撃性を発揮するのは、1988年、西ドイツで開催された欧州選手権以来だと思う。その時、ジャンルカ・ビアリと2トップを組んで出場していたのだが現在、監督を務めるマンチーニだ。文字通り隔世の感を覚える。

 ドメニコ・ベラルディ(サッスーロ)とフェデリコ・キエーザ(ユベントス)が務める右ウイング。ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)が務める左ウイング。両翼からの崩しがなにより効いている。準々決勝の対ベルギー戦で、活躍中の左サイドバック(SB)レオナルド・スピナッツォーラ(ローマ)が負傷。ケガの程度が気になるが、今回のイタリアには、お互いをカバーする力がある。個人の力というより、チーム力で勝ち上がってきている印象が強い。

 マンチーニ監督は、登録メンバー26人中、第3GKアレックス・メレト(ナポリ)以外の25選手を、グループリーグが終了した段階で、ピッチに送り込んでいる。フィールドプレーヤーはほぼ全員が使える状態にある。決勝戦まで7試合戦う態勢を整えている。チームは好ムードを維持していると考えられる。

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