ベンゼマとエムバペのホットラインは激アツ。フランスの攻撃力はW杯優勝時より上 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 もっとも、デシャン戦術の肝は、前線のタレントを生かしながらも、いかにして守備バランスを保つかにある。少ないリスクで勝つための効率性を重視するのが、デシャンの監督としてのモットーだ。

 その意味で、アンカーのエンゴロ・カンテ(チェルシー)、両インサイドハーフのポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、アドリアン・ラビオ(ユベントス)の3人の役割が、チーム戦術において極めて重要なファクターになる。

 フランスが優勝した2018年W杯では、初戦で4−3−3が機能しないと判断したデシャン監督は、2試合目に守備的MFのブレーズ・マテュイディ(現インテル・マイアミ)を4−2−3−1(4−4−2)の左ウイング(左MF)に抜擢。守備時には本来主戦場である中盤に下がり、カンテとともに左サイドの広いエリアをカバーしたことが思い出される。

 今回のチームで言えば、ラビオが担う役割がそれに近い。実際、ドイツ戦では左SBリュカ・エルナンデス(バイエルン)とともに左サイドをカバーしつつ、カンテが前に出た時は中央にポジション移動。ユベントスでプレーする時よりも攻撃参加は少なくなるが、ドイツを相手に指揮官が求めた任務を完遂して見せた。

 プレーエリアの広さでは世界屈指とされるカンテとポグバの存在も大きいが、MGBトリオありきの4−3−3を守備でも機能させるためには、守備の負担が増えるラビオが最大のキーマンになる。もしそのメカニズムが機能しなければ、おそらくデシャン監督はためらうことなくシステムを変更するだろう。

 いずれにしても、6月23日に予定されるポルトガル戦は、フランスにとってグループを何位で通過できるかが決まる重要な試合になる。にもかかわらず、ハンガリー戦を終えたデシャン監督は、3戦目にローテーションを採用する可能性を匂わせていた。

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