ベンゼマとエムバペのホットラインは激アツ。フランスの攻撃力はW杯優勝時より上

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

「この結果に喜んではいないが、満足はできる。我々は負けなかったし、手持ちの3ポイントに、もう1ポイントを加えることができたのだから。これで少しだけ余裕を持って、次の試合(ポルトガル戦)を迎えることができる」

 試合後の会見でそう振り返ったのは、グループ最弱と目されたハンガリーを相手に、手痛いドロー(1−1)を演じたフランス代表のディディエ・デシャン監督だ。

エムバペ(左)は22歳、ベンゼマ(右)は33歳エムバペ(左)は22歳、ベンゼマ(右)は33歳 今回のユーロで優勝候補筆頭とされるフランスにとって、地元ハンガリーとのグループ2戦目は予想以上に難しいゲームとなった。

 約5万6000人の大観衆で埋まったプスカシュ・アレーナは、まるでコロナ禍以前の世界が戻ってきたかのような熱気が満ちあふれていた。そのなかでハンガリーは地元サポーターの大声援をバックに、初戦のポルトガル戦(0−3)を上回るインテンシティでフランスを苦しめた。

 もちろん、最難関と見られたドイツ戦を勝利で終えたことで、フランスに多少の気の緩みがあったことは否定できない。その象徴とも言えるのが、前半アディショナルタイムに許した失点だった。

 それでも、攻撃が不発に終わったこの試合においても、このチームが持つポテンシャルの高さは十分に証明されたと言っていい。少なくとも、すでに勝ち点4ポイントを獲得して決勝トーナメント進出がほぼ確定的となったフランスが、今大会の本命であることに変わりはない(その後、グループBの結果を受けて決勝トーナメント進出が確定)。

 それを裏づけるのが、他チームが羨むようなワールドクラスを多数揃える圧倒的な選手層である。

 スタメンの顔ぶれは例外なくビッグクラブの主軸を張るタレントで構成され、控えメンバーにしても5大リーグの上位クラブのレギュラークラスばかり。1点を追う展開となったハンガリー戦の後半途中から登場した選手を見ても、FWウスマン・デンベレ(バルセロナ/ハンガリー戦で負傷して離脱)、MFコランタン・トリッソ(バイエルン)、FWオリヴィエ・ジルー(チェルシー)、MFトマ・ルマル(アトレティコ・マドリード)と豪華絢爛だ。

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