フランスまさかのドローでF組大混戦に。ユーロで接戦の好試合が続くわけ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 ポルトガルは試合当初から、まさにアウェー戦を戦うかのような守備的な戦いを強いられた。必要以上に引いて構える入り方をしてしまったのだ。それは、ドイツの両ウイングバック、ロビン・ゴセンス(左/アタランタ)、ヨシュア・キミッヒ(右/バイエルン)の位置取りに現れていた。

 ポルトガルは、両サイドで、数的有利な状況にあったにもかかわらず、相手の両ウイングバックに高い位置を取られた。両サイドバック(SB)と両ウイングが、高い位置を取って、その攻め上がりを牽制することができなかった。初戦でハンガリーに3-0の勝利を収めた余裕が、そうさせた可能性も高いが、それ以上に、アウェーの意識に基づく、攻撃的精神の低さが大きかったと見る。

 今回のユーロは通常とは異なる分散開催で、以下の11都市を舞台に行なわれている。

 アムステルダム(オランダ)、バクー(アゼルバイジャン)、ブカレスト(ルーマニア)、ブダペスト(ハンガリー)、コペンハーゲン(デンマーク)、グラスゴー(スコットランド)、ロンドン(イングランド)、ミュンヘン(ドイツ)、ローマ(イタリア)、サンクトペテルブルグ(ロシア)、セビージャ(スペイン)。

 オランダ、デンマーク、イングランド、ドイツ、イタリア、スペインの6チームは、グループリーグの3試合すべてがホーム戦となる。試合間隔は3日ながら、このコロナ禍だ。移動せずに地元で3試合を戦うことができるメリットは計り知れない。イタリア、オランダがすでにベスト16入りを決めていることと、それは密接な関係がある。

 イングランドが、ブックメーカー各社がフランスに次いで優勝候補の2番手に推されている理由も、準決勝以降の3試合がウェンブリーで行なわれることと関係が深い。

 グループリーグ最終戦。一番の注目は、やはりF組のポルトガル対フランス(ブダペスト)だ。前回の2016年フランス大会決勝の再戦である。この時はクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)が前半の途中、故障で離脱。完全アウェーのポルトガルは、絶体絶命のピンチに襲われたにもかかわらず、延長戦の末、優勝を飾った。

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