フランスまさかのドローでF組大混戦に。ユーロで接戦の好試合が続くわけ (3ページ目)
その背景にあったのが、フェルナンド・サントス監督のメンバーをやりくりする力だった。決勝戦に至るまでの6試合を通して、多くの選手を様々なポジションで起用してきた。「全員サッカー」が結実した格好だった。
グループリーグは3戦3分け。ポルトガルは、グループリーグで3位だった6チーム中で3番目の成績だった。すなわち、24チーム中15番目の成績でベスト16に進出した。ギリギリの通過だったにもかかわらず優勝した。苦戦している間に、その一方で全員サッカーの態勢を着々と整えていた。
今回はどうなのか。選手は前回より粒ぞろいだ。ポルトガルの選手層はさらに厚くなっている。24チーム中、一番といっていいかもしれない。ドイツ戦では、交代で入ったレナト・サンチェス(リール)が、可能性のあるプレーを見せていた。
対するフランスも、準優勝に泣いた前回から、戦力をアップさせている。主力として活躍したアントワーヌ・グリーズマン(バルセロナ)に、キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)を加えたFW3人の力は抜群だ。交代で入るウスマン・デンベレ(バルセロナ)も、ハイレベルのウイングとして知られる。
最終的にはドイツ、フランス、ポルトガルが揃ってベスト16入りするだろうと予想するが、繰り返すが、注目は順位ではなく、その後の4試合に向けた可能性だ。メンバー交代5人制で行なわれていることも加味すれば、使える駒が多いチームほど、後半の戦いは楽になる。
固定メンバーで最初から飛ばしているチームは、決勝トーナメントに入ると息切れする。スロースターター優位と言ってもいい。グループリーグ3位のチームの中で、4チームにベスト16入りのチャンスがあるというレギュレーションが、W杯などとの最大の相違点になる。
たとえばスペインなど、現在、エンジンが暖まっていないように見えるチームにも可能性は十分あると考えられるのが、現行のユーロなのだ。
ちなみに、強いかどうかはともかく、面白い存在に見えるのが、現在C組でオランダに次いで2位につけているウクライナだ。
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