CL決勝の注目選手。チェルシーのカギを握るMFマウントは香川真司似

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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サッカースターの技術・戦術解剖
第59回 メイソン・マウント

<8番であり10番>

 6歳からチェルシーで育った"フランク・ランパード2世"。そのランパード監督の下、トップチームでデビューして2シーズンあまりで中心選手としての地位を確立した。

チェルシーの中心として活躍するメイソン・マウント。CL決勝でも注目の選手だチェルシーの中心として活躍するメイソン・マウント。CL決勝でも注目の選手だこの記事に関連する写真を見る メイソン・マウントの紹介でよく使われているのが「8番であり10番」だが、この背番号の違いは何を表わしているのだろう。

 イングランドの名門アーセナルで始まった「WMシステム」が背番号とポジションを結び付けた。30年間(1930年代~50年代)も標準のシステムだったからだろう。しかし、WMにおける8番と10番はどちらもインサイドフォワードの背番号であり、左右の違いでしかない。

 WMのあと、イングランドで長く親しまれてきた4-4-2での8番はMF、10番はストライカーの番号だが、マウントはMFでありストライカーというプレースタイルではない。

 おそらくマウントを形容する時の8番は、イングランド伝統のボックス・トゥ・ボックス(※味方ゴール前から相手ゴール前まで動く)のセントラルMFを指していて、10番はより攻撃的なMFのことだろう。

 つまり運動量豊富で攻守に渡る貢献ができるリンクマンであると同時に、創造性に溢れたチャンスメーカーかつフィニッシャーという意味だ。

 トーマス・トゥヘル監督の下、マウントは3-4-2-1の「2」の左側で起用されている。まさに10番のポジションだが可動範囲は広く、たしかにかつてのランパードのプレースタイルを彷彿させるところがあるわけだ。

 技術的にはキレの選手だろう。直線的なスピードというより、俊敏で方向転換が速い。とくに右足アウトサイドを使っての急停止や持ち出しが速く、ボールタッチは繊細かつ正確だ。香川真司とよく似ていると思う。

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