マンチェスター・シティのレアルとPSGにはない貴重さとは。CL決勝へ前進

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 チャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦は、レアル・マドリード対チェルシーが1-1、パリ・サンジェルマン(PSG)対マンチェスター・シティが1-2という結果だった。

 鮮明になったのがマンチェスター・シティの優位性だ。4チームの中でCL優勝に最も近いチームと言える。

 試合のレベルが高かったのはPSG対マンチェスター・シティだ。ブックメーカーの優勝予想で1番手(マンチェスター・シティ)と2番手(PSG)の対戦は事実上の決勝戦と目されていたが、実際そのとおりの内容だった。そこでアウェーゴールを2点入れ、逆転勝利を収めたマンチェスター・シティ。欧州一の座はどこよりも鮮明に見えている。

パリ・サンジェルマン戦で同点ゴールを決めたケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)パリ・サンジェルマン戦で同点ゴールを決めたケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ) 第1戦で、立ち上がりから目を引くサッカーをしていたのはPSGのほうだった。無観客試合とはいえホーム戦だ。さすがに引いて守ってカウンターに徹するわけにいかなかったのだろう、高い位置からよく守り、パス回しを得意にするマンチェスター・シティにプレッシャーをかけた。

 前半15分、アンヘル・ディ・マリアが蹴ったCKをマルキーニョスがヘディングで合わせた先制弾も、そうした流れの中から生まれた。セットプレーではあるが、必然性の高いゴールだった。

 PSGの看板は、ネイマールとキリアン・エムバペ、そしてディ・マリアの3FWだ。しかし、右サイドにウイング然と張るディ・マリアに対し、ネイマールとエムバペの両バロンドール候補は、ポジションにこだわりなく奔走する。俺が主役とばかり、お互いが真ん中に寄る。

 左サイドには、1トップ下のマルコ・ヴェラッティがスペースを埋めようとカバーに入るが、時間の経過とともにチームとして左右の偏りを露呈させることになる。左サイドの攻撃は右に比べて劣ることになった。

 一方、右サイドは悪くなかった。ディ・マリアが高い位置に張ることで、マンチェスター・シティの攻撃を抑止する構図を描いていた。ディ・マリアと対峙する左SBジョアン・カンセロは、後方待機を強いられた。その結果、その前方で構える左ウイング、フィル・フォーデンとの関係を分断されることになった。

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