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メッシ、ロナウド後の欧州サッカーは混沌。スーパースターは必要か?

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 チャンピオンズリーグ(CL)準決勝、レアル・マドリード対チェルシー、パリ・サンジェルマン(PSG)対マンチェスター・シティのそれぞれ第1戦が、現地時間4月27日、28日に行なわれる。

 ブックメーカーの優勝予想によれば、4強の倍率は以下のような順で並ぶ。マンチェスター・シティ、PSG、レアル・マドリード、チェルシー。すなわち、この上位2強が対戦する28日の一戦が、事実上の決勝戦と目されているわけだ。

 そこに昨季の覇者(バイエルン)、一昨季の覇者(リバプール)の名前はない。連覇の難しさ、欧州サッカーの移り変わりの早さを見て取ることができる。有力視されるマンチェスター・シティ、PSGは、最近の10年で急速にチーム力を上昇させた、いわば"成金系金満クラブ"だ。チェルシーも約20年前からそう言われてきたものだが、欧州のクラブサッカーシーンはいま、伝統的なクラブと成金系クラブとがしのぎを削る構図となっている。

 成金系がCLを制した過去は、長い歴史の中で2011-12シーズンのチェルシーのみ。だが、今季のベスト4は、チェルシーを含めると3チームが成金系だ。伝統的なクラブが苦戦を強いられたシーズンと言える。

チャンピオンズリーグ準決勝でマンチェスター・シティに挑むパリ・サンジェルマンのネイマールチャンピオンズリーグ準決勝でマンチェスター・シティに挑むパリ・サンジェルマンのネイマール 伝統的なクラブとして唯一勝ち残ったレアル・マドリードには、2015-16シーズンから3連覇した当時のような勢いはない。理由はわかりやすい。クリスティアーノ・ロナウドの穴を埋められずにいるからだ。

 ロナウドは3連覇した後、ユベントスに移籍。一方で、それに代わる大物選手をレアル・マドリードは補強しなかった。チェルシーから獲得したエデン・アザールに、それなりの期待を寄せたものの、ケガなども重なり空振りに終わる。当時の3トップ、BBC(カリム・ベンゼマ、ガレス・ベイル、ロナウド)と現在の3トップ、ヴィニシウス・ジュニオール、ベンゼマ、マルコ・アセンシオを比較すれば、ブックメーカーから3番手の評価を受ける理由が浮き彫りになるのだ。

 中盤(カゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチ)に至っては、3人とも当時と同じ名前が並ぶ。新陳代謝が円滑に進んでいない証である。

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