鈴木優磨、ゴール量産の理由を考察する。現地メディアの評価は急上昇
シント・トロイデンのエースストライカー、鈴木優磨は今シーズン17ゴールをマークした。
この数字は得点王ランキングで4位タイとなるもの。また、ベルギー1部リーグにおけるクラブレコードタイ記録だった。シント・トロイデンの1部残留に大きく貢献した鈴木は、今季のチーム最優秀選手に選出された。
17ゴールを決めて今オフの移籍が噂される鈴木優磨 鈴木のステップアップは、すでにベルギー内で既定路線になっている。新聞、テレビ、雑誌、ウェブを問わず、「今季が鈴木のシント・トロイデンにおけるラストシーズンになるだろう」というフレーズは、彼のことを書いたり述べたりする際の枕詞になった。
半年ほど前まで、鈴木を巡る状況は今とだいぶ違っていた。
第15節を終えた時点で、チームは降格ゾーンに低迷。鈴木もわずか5ゴールと不振にあえいでいた。前任のケビン・マスカット監督が更迭され、しばらく経ったあとの地元紙は鈴木のことをこう批判していた。
「鈴木はこのまま先発にとどまれるのか......。チームで最も出場時間の多い鈴木だが、もうレギュラーの保証はないようだ。彼は毎試合一生懸命だし、チームにとって有益な存在。それでも最近の決定力不足はいただけない。トラップミスやボールロストも目立つ」
シント・トロイデンと鈴木の状況が好転したのは12月上旬、ピーター・マースが監督に就いてからだ。マース監督はロケレンをベルギーカップで2度優勝させ、2014年には最優秀監督賞を受賞した名伯楽。就任直後のマース監督は、チームの状況を分析してこう語った。
「チームとしてチャンスを作ることはできている。しかし、シュートを決めきれない」
「つまり、決定力の改善が必要ということですね?」という質問に対し、彼は「そのとおり」と答え、ストライカー陣の覚醒を求めた。そして続けた。
「しかし残留争いしている時は、2点、3点取って勝とうとしても駄目。まずはしっかり組織を作ること。そして、ボールがないところでの規律が大事。ただ、戦う気持ちは全員持っているから、メンタルは問題ない」
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