デル・ピエロが現場復帰? 引退後の紆余曲折を経て監督コース入り (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 選手時代に味わっていたような達成感を求めるかのように、デル・ピエロは引退後、精力的な活動を始める。それは本当に多岐にわたる。

 引退直前の2013年には、テレビドラマ『グレイズ・アナトミー』などで有名なアメリカの俳優パトリック・デンプシーと共にデンプシー・デル・ピエロレーシングチームを作っている。もちろんデル・ピエロはドライバーではなく、チームのオーナー及び相談役としての参加だ。

「僕はイタリア育ちだからね、モータースポーツは子供のころから大好きだった」

 彼らのチームはル・マンにも出場している。

 デル・ピエロはサングラスのブランドも立ち上げている。ブランド名は「AirDPスタイル」。その名のとおり、軽さがなによりの特徴だ。このアイデアはゴルフをしていた時に生まれたという。

「スポーツの時にも邪魔にならない、軽くて、それでいてお洒落なサングラスを作りたいと思ったんだ。オーストラリアでプレーしていた頃に、日差しの強さから目を守る大切さも学んだこともきっかけだ」

 デル・ピエロにはソニア夫人との間に3人の子供、トビアス(13歳)、ドロテア(11歳)、サーシャ(10歳)がいる。彼らをのびのびとした環境で育てたいという理由から、アメリカのロサンゼルスに移り住んだ。

 2018年の春にはその地で「N10」というイタリアンレストランをオープンする。400平米、140席の大型店だ。イタリアのミシュラン一つ星レストランのシェフをスカウトし、現代的なイタリアンを提供している。

「食は昔から僕にとって禁断の情熱だった」

 このレストランを開いた理由をデル・ピエロはこう説明する。

「選手時代はなかなか好きなものを食べることはできなかった。体にいいものを気にかけ、決められたメニューに従わなければならなかったからね。でも僕もイタリア人だ。うまいものにかけては一家言ある」

 しかし、アメリカでは外食しても、なかなか満足のいく店に当たらなかった。

「それなら自分でレストランをやってしまおうと思ったんだ。実はこれは選手時代からの夢でもあった」

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る