ロナウドに戦犯の烙印。「強烈な野心」を持つ男が失ったものは何か

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦。ユベントスはポルトとの第2戦に3-2で勝利して2戦合計4-4としたものの、アウェーゴール差で敗れ、ベスト8進出を逃した。

 エースであるクリスティアーノ・ロナウド(36歳)は、試合を決める失点の原因を作ったことで、凄まじい批判を浴びている。

「たくさんのことがあった試合だが、最も深刻なのはFKで壁に入ったロナウドが跳び上がり、体をひねったことだ。ボールをぶつけられることを怖がってはならない。(壁が壊れた失点だけに)許されない行為で、言い訳はないだろう」

 ユベントスOBのファビオ・カペッロもおかんむりだ。イタリア各紙も「ロナウドに裏切られた」「ユーベとCR7の結婚は惨事」と叩きまくり、内外で非難が噴出している。

 たしかに、ロナウドの行為は失態だろう。顔を背け、体をひねることで、壁の役割を放棄。ユース年代で叱られるミスだ。

 もっとも、もしロナウドがチームを牽引するゴールを決めていたら、ここまで酷評されていなかっただろう。ポルト戦のロナウドは完全に沈黙。有効なプレーにほとんど関与できなかった。

 醜態をさらしたロナウドは終わったのか?

ポルト戦ではプレーに精彩を欠いたクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)ポルト戦ではプレーに精彩を欠いたクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス) ユーベはこれで2年連続、CLベスト16で敗退している。

 今回着目すべきは、ロナウド自身のパフォーマンスレベルも明らか落ちていた点にあるだろう。CL歴代最多134得点を誇る男は、かつて所属したレアル・マドリードで6年連続CL得点王に輝き、4度の優勝を飾っている。その勝負強さで王のように君臨してきたのだ。

「(2017-18シーズンに)レアル・マドリードを去って以来、ロナウドの赤面するようなデータ」

 スペインのエル・ムンド・デポルティーボ紙は、バルセロナ系のメディアだけに、かつてのレアル・マドリードのエースの凋落ぶりを煽る。

 レアル・マドリードで最後のシーズン、ロナウドは欧州3連覇の原動力となって、CLで15得点を叩き出した。しかし、ユーベでは過去3シーズンで14得点。期待を裏切っているのは事実だ。

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