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メッシ中心のサッカーの限界。バルサはPSG戦大敗を機に再出発できるか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 メッシは今季を前に、バルサを去る、去らないで揉めたが、いまだに残っている。ロナウドとレアル・マドリードとは対照的に、バルサとメッシは関係を切れずにいる。

 メッシにバロンドールを受賞するだけの力が残っているのなら話は別だが、全盛期を10とすれば、現在は7か8だろう。今季の国内リーグでは現在15得点を挙げ、ルイス・スアレスに次いで2位につける。スペイン国内を見渡す限りでは、衰えたとの印象は薄い。スーパースターの座に君臨するが、出るところに出ると、そうはいかなくなる。

 バロンドールの受賞回数を、これ以上伸ばすことはさすがに不可能だろう。欧州的には、燦然と輝く選手でなくなったことが、今回のCL準々決勝で明らかになった格好だ。もはや、エムバペには敵わない。1-4の大敗を語る時、最も触れるべき要因はこれになる。

 来季、レアル・マドリードに移籍するのではないかと噂されるエムバペに対し、メッシはPSG移籍説が伝わっている。噂どおりに話が進むと、PSGは弱体化するのではないかとよけいな心配をしたくなるが、その前に今季の話をすれば、PSGにはCL優勝の順番が到来しているかもしれない。

 PSGは昨季の準優勝チームだ。昨季の優勝チーム、バイエルンの2連覇か、準優勝チーム、PSGの初制覇かと問われれば、PSG有利に見えてくる。2連覇が簡単でないことはCL史を見れば明らかだ。

 CL史において唯一、連覇を達成したレアル・マドリードにはロナウドという絶対的なエースがいた。現在で言えば「エムバペ級」に相当するが、バイエルンに連覇を可能にするだけのスーパースターは存在するだろうか。比較対象はロベルト・レベンドフスキになるが、筆者はあくまで、彼はいいサッカーの上に成り立っている選手だと見る。一瞬で不可能を可能にする選手ではない、と。

 バルサは来季、メッシが抜けるであろうその穴を、どう埋めるつもりなのか。この敗戦を機に、ポストメッシへの動きは加速するはずだ。改革のチャンスと捉えれば、1-4の大敗は意義深いものになる。

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