エムバペの驚異のテクニックを大解剖。メッシ&ロナウド越えはほぼ確実
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サッカースターの技術・戦術解剖
第46回 キリアン・エムバペ
<とてつもなく速いのに、柔らかい>
守る側からすると、どうにもならない選手だろう。コースが空いていればボールごと通過される、コースを塞ごうとすれば逆をとられる。一歩出遅れたら、もう追いつけない。
チャンピオンズリーグのバルセロナ戦で、ハットトリックを決めたエムバペ ただ、キリアン・エムバペの武器は速さだけではない。ボールタッチは繊細で、高速で足を動かしながら、ボールに触れるか触れないかの微妙なタッチができる。
キックフェイントが効果的なのは、モーションの大きさと速さもあるが、蹴る寸前のところまで足を持っていけるからだ。パワーの出力が大きい足の動きなのに、軽くて正確なタッチができる。ネコのような速さと柔らかさだ。
欧州チャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16の第1戦はカンプ・ノウでのバルセロナ戦だった。4-1でパリ・サンジェルマンが快勝したゲーム、エムバペはハットトリックを達成している。
1点目は同点ゴール、エムバペらしい得点だ。マルキーニョス(ブラジル)から対角のロングパスが出て、レーバン・クルザワ(フランス)が左からクロスボールを入れる。これをマルコ・ヴェラッティ(イタリア)が右足アウトでコースを変えてエムバペへ。エムバペは右足インサイドで左側へボールをコントロールして、DFの逆を突く。
ただ、この最初の右足コントロール自体はおそらくミスタッチだろう。ボールは跳ねて左足モモに当たって、再び右足の前に落ちた。
しかし、このあとのリカバーが恐ろしく速く、エムバペの真骨頂だった。すぐに右足、左足とタッチして左へ運び直して抜け出すと、左足でゴールの内天井へ叩き込んだ。
広いスペースでの疾走は圧巻だが、このように狭いエリアを進む時も非常に速い。足を前へ運ぶ速さ、大きさ、しかもボールタッチは繊細なのだ。
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