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メッシ中心のサッカーの限界。バルサはPSG戦大敗を機に再出発できるか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

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 筆者の目に、この試合でメッシ以上に苦しく映ったバルサのベテラン選手は、ジョルディ・アルバ(左サイドバック)とセルヒオ・ブスケッツ(アンカー)だ。負傷離脱から復帰したばかりのジェラール・ピケ(センターバック)はなんとも言えないが、いずれにしても6シーズン前、バルサが最後に優勝を飾ったとき、スタメンを張っていた選手は、卒業の時を迎えている。

 ロナルド・クーマンが来季続投するか否かは、国内リーグの成績と関係するだろうが、このままでは誰が監督を務めようとも、じり貧に陥ることは見えている。過去をきれいさっぱり清算し、再出発することができるか。

 そのために必要なことは理念の回復に他ならない。本来像を取り戻すことである。エルネスト・バルベルデが監督に就任した頃からだろうか、バルサはすっかり普通のチームに成り下がった。他のクラブのサッカーとは決定的に異なる特別感、カリスマ性を抱くことができなくなった。

 かつては大一番に負けてもバルセロナのカリスマ性は失われなかった。それが、宿敵レアル・マドリードにCL優勝の回数で大きく劣りながら、世界的な人気ではバルサが勝っていた理由でもあった。試合に敗れても人気に翳りは見られなかった。特別感のある魅力的なサッカーをしていたからだ。

 いまその魅力はない。ある時を境に急激に薄れてしまっている。今回のPSG戦しかり。その1-4は救いのない敗戦だった。ファンを大きく減らすような試合だった。サイドアタックを重視した攻撃的サッカーとは言えなかった。そのお株をPSGに奪われていた。

 メッシ中心のサッカーの限界を露呈した試合。そのことを、今回ほど実感したことはなかった。バルサの変化に期待したい。

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