ベイルは本業よりゴルフ好き? 他競技にのめり込むスターたち

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Reuters/AFLO

「WALES. GOLF. MADRID. IN THAT ORDER.」

 2019年11月19日、ユーロ2020予選最終節でハンガリーに勝利したウェールズの選手たちは、そのような文字の入った大きなウェールズ国旗を広げて本大会出場決定の喜びを分かち合った。

 その意味するところは、その国旗の中央で歓喜したウェールズ代表キャプテン、ガレス・ベイルにとっての優先順位。要するに、ベイルにとってはウェールズ代表、そして趣味のゴルフのほうが、当時の所属クラブのレアル・マドリードの試合よりもプライオリティが高いという英国流のブラックジョークである。

無類のゴルフ好きで知られるガレス・ベイル(トッテナム・ホットスパー)無類のゴルフ好きで知られるガレス・ベイル(トッテナム・ホットスパー) ベイルのゴルフ好きを証明するエピソードは数多い。たとえば、ウェールズに構える豪邸の裏庭には有名ゴルフコースを再現した3つのレプリカコースがあるとか、今季レンタル移籍した古巣トッテナム・ホットスパーがベイルのために練習場内に小さなゴルフコースを設置したとか。

 その腕前も趣味の域を超えたプロ級レベルであることはよく知られているが、ベイルのように人並みはずれた運動能力が自慢のサッカー選手が、本格的に他のスポーツに取り組む例は他にもある。現役選手でいえば、インテルに所属するクロアチア代表イヴァン・ペリシッチもそのひとりだ。

 10歳からビーチバレーをプレーしていたペリシッチは、3年前、プロビーチバレーのワールドツアーシリーズにクロアチア代表選手として出場し、その実力を大舞台で披露した。あらかじめインテル側に出場を伝えていなかったため、後に大目玉を食らう羽目になったが、毎年夏に友人とビーチバレーのトレーニングに励んでいた本人は、「これは長年の夢だった」と語るほどの喜びようだった。

 もっとも、現役中にサッカー以外のスポーツに熱中する時間は、どうしてもオフシーズンに限られる。元イングランド代表GKで、現在ベイルのチームメイトでもあるジョー・ハートが、2018年ロシアW杯でイングランドがスウェーデンと準々決勝を戦っている最中に地元のチームでクリケットに興じていたことは、象徴的だろう。

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