前半戦終了の欧州サッカー。市場価格が上昇した日本人選手ベスト5 (5ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

欧州日本人選手のなかで、今冬、市場価値をもっとも高めた鎌田大地欧州日本人選手のなかで、今冬、市場価値をもっとも高めた鎌田大地1位 鎌田大地(フランクフルト)
上昇額800万ユーロ(約10億800万円)/市場価格1600万ユーロ(約20億1600万円)

 2017年の夏に160万ユーロ(約2億160万円)でフランクフルトにやって来た、当時20歳の鎌田大地は、チームで苦しい状況に置かれた。

 事態が好転したのは、シント・トロイデンへのレンタル移籍だ。ベルギーの地で活躍し、市場価格を約3倍の450万ユーロ(約5億6700万円)まで上昇させ、フランクフルトに復帰した。そして2020年末では、1600万ユーロまで市場価格が上昇。フランクフルトでの成長のなかで、鎌田大地が持つ役割の大きさが、市場価格の上昇にそのまま反映されている。

 ここまで11スコアラーポイント(2得点、9アシスト)の鎌田は、そのポイントでドルトムントのジェイドン・サンチョ(1億ユーロ、約126億円)や、バイエルンのヨシュア・キミッヒ(8500万ユーロ、約107億1000万円)と並んでいて、能力の高さを証明している。

 サンチョやキミッヒと比べて、市場価格が低いのは、ピッチ上のプレー以外の要素も影響しているためだ。この価格設定には、サッカー面の評価に加えて、所属する国内でのマーケティング効果、選手の評判、年齢、クラブ内の序列なども考慮に入れられる。サンチョやキミッヒのように、日刊紙に連日名前が挙がるような選手と比べて、価格が下がるのはしかたがない。

 そうは言っても、鎌田がブンデスリーガ屈指のアシスト数を誇るチャンスメーカーだという評価は揺るがない。鎌田のエゴを捨てた献身的なプレーは、フランクフルトに信じられないほどの恩恵をもたらしている。その一方で、好プレーが持続しない部分も見られる。ときどき見られる集中力を欠いたようなパスミスや、ボールコントロールのミスが、それまでの良い印象に暗い影を落としてしまっていた。

 しかし、直近のフランクフルトが3-4-2-1で攻撃的ミッドフィルダーを2枚並べる布陣にすると、鎌田への負担も減って、以前に比べてミスも目立たなくなった。

 フォーメーションが変わり、多少役割が変わっても、変わらないひとつの事実がある。それは、鎌田大地は"違いをつくれる選手"であり、フランクフルトの勝敗を左右する選手のひとりであることだ。鎌田が、この自身の能力をさらに確実なものにし、評判を定着させられれば、遅かれ早かれビッグクラブからのオファーも舞い込むだろう。

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