久保建英ビジャレアル、首位ソシエダと激突。両軍指揮官の数奇な縁

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Diego Souto/Quality Sport Images/Getty Images

2列目中央にミケル・エチャリ、その上がイマノル・アルグシアル(レアル・ソシエダ監督)、下がウナイ・エメリ(ビジャレアル監督)2列目中央にミケル・エチャリ、その上がイマノル・アルグシアル(レアル・ソシエダ監督)、下がウナイ・エメリ(ビジャレアル監督)「人への敬意を失わず、勤勉で献身的に仕事ができた。しかし、過去に戻って『この選手は監督になるか』と聞かれたら『ノー』と答えるだろう。それぐらい、とても奥ゆかしい男だった。極めてバスク人っぽい。プレーする準備を真面目にしていた」

 イマノルは1999年までレアル・ソシエダのトップチームでプレーしたが、準レギュラー的存在だった。しかし交代要員として、常に準備を怠っていない。その誠実さと集中力を買われ、チームに在籍していた。その後は、ビジャレアルへ移籍するもポジションを奪えず、2部や2部B(実質3部)でプレーした後、指導者に転身している。

 生まれ故郷に戻って監督キャリアをスタートさせると、地道にユース年代で結果を残し、レアル・ソシエダに指導者として復帰した。ユースチームを率いて結果を残し、やがてレアル・ソシエダのBチームを指揮。そして2018年3月、5年目にして、不振のトップチームに代打として監督就任。以来、トップ監督は3年目で、今や欧州でも注目される存在だ。

 イマノルは地味なディフェンダーだったが、監督として実現させているのは華やかなボールゲームだ。その攻撃的戦術は、かつてのバルセロナを彷彿とさせる。能動的にボールを動かし、攻め崩す。昨シーズンは、マルティン・ウーデゴール(レアル・マドリード)の才能を開花させた。

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「エメリは左利きのアタッカーで、センスを感じさせる選手だった」

 一方、エチャリはエメリについてそう証言している。

「エメリは選手時代から、戦術に熱心だった。Bチーム時代の思い出がある。シーズン中、"崩し切って(エメリの)ラストパスで勝負を決める"という攻撃練習を、何度も重ねて完成させたことがあって、実際にその場面が試合で訪れた。ところが、エメリはパスを出さず、自分でシュートを打った。それで外したんだ。選手の判断に関しては尊重するが、あの時は珍しく口論になったのを覚えている」

 エメリは1995-96シーズン、トップチームでデビューを果たし、5試合1得点の結果を残したが、これを"思い出"に退団した。左利きアタッカーとしては、スペイン代表でレギュラーだったフランシスコ・デ・ペドロがいて、ポジションはなかった。その後、2部や2部Bのクラブでプレーした後、ケガを契機に不調だった所属クラブの監督に就任した。

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