2020.11.02

イブラヒモビッチの影響力。王はイタリアで神に!?「俺はズラタン」 

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

サッカースターの技術・戦術解剖
第31回 ズラタン・イブラヒモビッチ

<「神」になった39歳>

「ミラノに王はいなかったが、神はいた」

 セリエA第4節、インテルとのミラノダービーに自らの2ゴールで勝利すると、ミランのズラタン・イブラヒモビッチはSNSでそう綴った。昨季のダービーでインテルが勝利したあと、ロメル・ルカクが「この町には王」がいると書いた。「神」発言は、そのルカクへのアンサーのようだ。

39歳にしてますます充実したプレーを見せる、イブラヒモビッチ もっともイブラヒモビッチはすでに「王」については自称している。パリ・サンジェルマンを去る時、

「王として来て、伝説として去る」

 と、言っているのだ。王で伝説、そして神。半分はふざけているのだろうが、ズラタンにはこういうイキった言葉がよく似合う。存在自体が漫画のヒーローのようだ。

 今季の開幕戦で2ゴール。ところが新型コロナウイルスに感染して、2試合出場できず。しかし復帰したダービーで2ゴール、さらに第5節のローマ戦でも2ゴール。3試合で6ゴールのハイペースである。

 39歳になって、さすがに運動量は落ちた。大半はフィールド上をのしのしと歩いているだけだ。だが、ボックスの中へ入ればいまだに別格なのだ。

 ボールに触れば何かはやる。空中戦の強さは圧倒的で、トリッキーなテクニックも健在。どうすればゴールできるかを知り抜いているような冷静さも光る。

 ゴール前では、ファーポスト寄りでハイクロスを待つことが多い。相手のセンターバック(CB)とサイドバック(SB)の間にポジションを取り、SBとの競り合いに持っていくのが常套手段だ。

 SBには小柄な選手が多い。大きなCBと競っても十分優位性があるのに、さらに身長差のあるSBと勝負しようという狡猾さも相変わらずである。