2020.10.30

「メッシの敵」は退きユーベに勝利。
それでもバルサに残る火種とは

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 しかし、結果として、どちらも成功していない。その理由はいたって明快。バルサの下部組織ラ・マシアは一貫して4-3-3で戦い、そこで育てられた選手がトップチームの根幹をなしている。どうしても、不具合が出るのだ。

 ユーベ戦の前に行なわれたクラシコでは、バルサは本拠地で1-3と敗れているが、この試合ではズレを露見させた。

 序盤、ダブルボランチの一角であるセルヒオ・ブスケッツが、呆気なく背後でボールを受けられてしまい、慌ててジェラール・ピケが寄せたところ、その裏を突かれる形になった。ブスケッツが裏に入った選手を追わず、カバーに入らなかったことに、ピケは身振り手振りも交えて不満を表していた。ブスケッツとフレンキー・デ・ヨングとのダブルボランチは、滑稽なまでにかみ合っていなかった。

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 そもそも、バルセロナは守りを出発点にした戦い方が向いていない。

 エースであるリオネル・メッシにプレッシングを要求するのは無理があるだろう。右サイドに配置されたペドリは、相手の攻撃を封鎖するために守りに専念せざるを得ず、凡庸な出来に終わった。また、1トップのアンス・ファティは天性のゴールゲッターであり、1得点して実力を証明したが、相手を背に受けたプレーは不得意で、システムを機能させることができなかった。

 クーマンは、前線の破壊力を生かした戦いを目指している。しかし後半途中には、その焦りが出た。中盤の選手を下げ、前線の選手を次々に投入したが、組み立てができず、中盤で主導権を失い、弾切れの大砲が並んだ。結果、4-2-3-1は不発に終わった。

 レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督は、バルサを研究していた。ジョルディ・アルバの攻め上がりを警戒し、マルコ・アセンシオをウィングバックに近いポジションで右サイドを封鎖。相手を引き込みながら、カウンターを狙い、効率的なプレーに終始した。

 ユベントス戦でバルサが完勝できた理由としては、相手が戦術的に嫌がるような準備をしてこなかったこともあるだろう。真っ向勝負では、バルサに一日の長がある。