高勝率のロペテギ監督。暗黒の1年を乗り越え、名将への階段を上る (2ページ目)
しかし、ワールドカップ初戦の2日前というタイミングでの発表は、あまりにも性急で配慮も何もなさすぎる。まるでスペイン協会への挑発である。
レアルというクラブの奢りそのものと言えるが、彼らにすれば代表チームなど知ったことではないのだ。このあたりはクラブチームのステータスが代表より上という、スペインならではの事情だろう。新監督がワールドカップにかかわっていれば、それだけチームの準備が遅れてしまう。最初からロペテギを強奪する気だったのだろう。
レアルからオファーがあれば断るのは難しい。ただ、ロペテギ本人も「何が何だかわからない」うちにマドリードに着いていたような経緯は、極めて異例である。
そこまでして手に入れたロペテギ監督なのに、リーグ戦10試合で解任してしまったのもレアルらしい。第10節のバルセロナ戦を1-5で落とし、ロペテギにとってそれがレアルでの最後の指揮となった。
巨大クラブの思惑に振り回されたあげく、不振の責任を負わされて放り出された。もしかしたらワールドカップの優勝監督にもなれたかもしれないキャリアが、一気に暗転してしまった。
<育成型にして勝負師>
2018年、スペイン代表とレアル・マドリードの監督を解任されたロペテギは、2019年にセビージャの新監督に迎えられた。
暗黒の2018年を除けば、ロペテギの戦績はすばらしい。ラージョ・バジェカーノで監督としてのキャリアをスタートし、レアル・マドリードBを経て、スペイン代表U-19、20、21を歴任。U-19とU-21ではヨーロッパ選手権を制覇した。U-21では11戦して全勝、勝率100%という驚異的な結果を残し、U-19、20でも勝率70%を下回ったことがない。
2014年から2シーズン指揮を執ったポルト(ポルトガル)でも77戦して勝率68.83%の勝率を残している。それなりの戦力を持たせれば確実に勝つ監督で、むしろレアル・マドリードだけが例外だった。レアル時代についてロペテギは「時間が足りなかった」と振り返っている。
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