高勝率のロペテギ監督。暗黒の1年を乗り越え、名将への階段を上る
サッカー名将列伝
第18回 フレン・ロペテギ
革新的な戦術や魅力的なサッカー、無類の勝負強さで、見る者を熱くさせてきた、サッカー界の名将の仕事を紹介する。今回は選手・チームを育てながら勝たせ、高い勝率を残してきた、スペインのフレン・ロペテギ監督を取り上げる。2018年のスペイン代表とレアル・マドリードで大きな傷を負ったが、現在はセビージャで再び実績を積み上げている。
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<半年でスペイン代表とレアルを解任される>
名将への道のりを順調に歩んできたフレン・ロペテギの人生が一変したのが、2018年ロシアワールドカップだった。
2019年からセビージャを率いている、フレン・ロペテギ監督 スペイン代表監督としてロペテギはロシアにいた。6月15日には初戦のポルトガル戦を迎えるはずだったのだが、その2日前に解任されてしまう。
ロペテギ監督が就任してからの約2年間、スペインは20戦して14勝6分無敗。得点61、失点13と文句のつけようもないものだった。ワールドカップ予選も9勝1分。一度も負けないまま解任されたことになる。
スペイン協会が開幕戦の前々日という土壇場で監督解任に踏み切ったのは、6月12日にレアル・マドリードがロペテギの2018-19シーズンからの監督就任を発表したためた。協会はロペテギとの契約更新を発表したばかりだったから、レアルへの監督就任はスペイン協会との契約を破棄することを意味する。協会側からすれば裏切りに等しい。
さらに、スペイン代表にはレアルの選手が数多くいた。レアルの監督になるロペテギが彼らに便宜を図るのではないかとの憶測も流れ、怒り心頭の協会は13日にロペテギを解任してしまった。
レアルは前人未到のチャンピオンズリーグ(CL)3連覇を達成したばかりだったが、ジネディーヌ・ジダン監督が唐突に辞任してしまい、監督の座は空席になっていた。ワールドカップが終われば、まもなく新しいシーズンがスタートする。準備期間を考えれば、すみやかに新監督を決め、なるべく早く新チームを立ち上げたい。
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