CLではベスト16が限界でも、
欧州一のサッカータウンはここだ (2ページ目)
客席はすべてその独得の青でペイントされている。スタンドの造りは箱形だ。まさに英国調である。連想するのは同じ青をチームカラーにするチェルシーのスタンフォード・ブリッジになるが、UEFAの認定どおり、アイブロックスの方が上になる。青の鮮やかさでもチェルシーに勝っている。
密閉性が高く、音の反響率も高い。
時は2000-01シーズン。チャンピオンズリーグ(CL)の1次リーグ最終戦(第6節)だった。
シュトルム・グラーツ(勝ち点9)、ガラタサライ(7)、レンジャーズ(7)、モナコ(6)で争われるD組は、最終節を前に4チームすべてに突破の可能性が残されていた。そうした混沌とした状況に拍車を掛けていたのが直接対決のルールである。当時、順位化する手段として、勝ち点の次に得失差でなく直接対決の結果を優先していたのはUEFAのみ。日本人には目新しいルールだった。
2000年11月7日。アイブロックスで行なわれた一戦は、3位対4位の対戦だった。レンジャーズ対モナコ。同時刻にイスタンブールで行なわれた2位対1位の対決、ガラタサライ対シュトルム・グラーツ(監督はイビチャ・オシム)の試合の行方を、記者席に備え付けのモニターで確認しながらの観戦になった。
CLでは試合前、選手が正面スタンド前に整列すると大会のテーマ曲が流れる。どのスタジアムもこの習わしを終えると、スタンドの盛り上がりは最高潮に達する。この日のアイブロックスも例外ではなかった。耳をつんざく莫大な音量。当時のノートには「これまで聞いた中で一番」と記されていた。何と言っても拍手が凄まじかった。観衆全員が力一杯叩くと、密閉された箱形の空間に、まさに割れんばかりに轟いた。
ブラバン演奏がそれに続いた。ブラバン演奏といえば、オランダ式応援に欠かせない道具だが、この頃のレンジャーズにはオランダ人が主力として在籍していた。監督はディック・アドフォカートだった。この試合、ジョバンニ・ファン・ブロンクホルストは欠場したが、アーサー・ニューマン、ロナルト・デ・ブールなど、当時のオランダ代表がスタメンを飾っていた。
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