2020.08.04

久保建英の移籍を巡る狂騒曲。
「恋人」に求められる条件は何か

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、フランスの有名スポーツ紙『フランス・フットボール』が久保建英(19歳)にインタビューした内容を引用し、記事を掲載している。

「僕はピッチでは決して臆することはない。選手というのはピッチで表現しなければならないからね。ピッチで臆病だと、成長することはできない。ピッチではプレーで"話す"んだ」

 マジョルカで1年を戦った久保はそう言う。

スペインでは移籍先について毎日のように報道が続いている久保建英 その流儀は、スペインサッカーにおける選手の条件と言えるかもしれない。久保は、それをすでに身につけている。シーズンを通じてチームの矢面に立った戦いが、言葉以上の重みをもっているのだ。

 その結果、スペインだけでなく欧州サッカー全体が、久保の力量を高く評価している。さもなければ、他紙のインタビューが再掲載され、克明に紹介されることはないだろう。これほどのバリューがあるのはトップスター選手だけだ。

 レアル・マドリードがパスを所有する久保は、欧州サッカー界全体の寵児になっている。来シーズン、マジョルカを退団した日本人アタッカーはどこへ行くのか――。それは大きな関心事だ。

 この1週間だけでも、久保の周囲には多くの噂が立ち込めている。

「久保の恋人たち」

『アス』は、そのモテモテぶりを賑やかに伝えている。

 スペイン国内では、レアル・ソシエダ、ベティス、バジャドリード、セビージャなどが有力視されてきた。しかしそこに、「ビジャレアル、グラナダ、セルタ、岡崎慎司の所属するウエスカまで獲得合戦に参戦」というニュースが流れている。オサスナは「監督とテクニカルディレクターが久保と対話」と急接近が伝えられる。一方、一時は候補の一番手と言われたセビージャが「2年契約、買い取りオプション付き」を要求し、一転して「交渉は暗礁に乗り上げた」と報じられている。

 もっとも、どこまでが事実かはわからない。マンチェスター・シティの関係者は、言下に獲得に動いていることを否定した。各クラブが興味を示しているのは間違いないとしても、現実的な交渉に入っているチームはそこまで多くはない。各紙に流れる様々なうわさは、虚々実々の駆け引きで、混乱させるために関係ない情報がリークされる場合もあるのだ。