岡崎慎司が何度も繰り返す基本の動き。ラ・リーガ昇格を決めたゴラッソ (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

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ファーに一度逃げて、ニアに走り込む

 ストライカーの教科書どおりという鮮やかな駆け引きだった。ミケル・リコのスルーパスで、右サイドを抜け出したラファ・ミル。その瞬間に中央の岡崎は走り出した。

岡崎は、一度ファーサイドへ向かって相手を引きつけてから、ニアサイドへダッシュしマークを外した岡崎は、一度ファーサイドへ向かって相手を引きつけてから、ニアサイドへダッシュしマークを外した 岡崎のマークについた相手DFのベルナルドは、やや前方でラファ・ミルと岡崎の両方を視野に入れながら並走。岡崎もラファ・ミルを見ながらベルナルドを視界の隅に捉えつつスピードに乗っていく。

 先に仕掛けたのは岡崎だった。動き出した岡崎はゴールに向かって直進せず、やや左斜めのファーサイドに向かって走っていた。それに気づいたベルナルドも体の向きを入れ替えてファーへと舵を取った。

 これが岡崎の駆け引きである。ベルナルドが向きを変え、ラファ・ミルがルックアップした瞬間、岡崎は動きを変えてニアに向かって一気に加速した。逆を取られたベルナルドは置き去りにされ、マークが外れた状態でニアに入り込まれた。

 マークを振り切った岡崎に、ラファ・ミルがプルバックのクロス。これがやや後方にずれるも岡崎は右足のヒールで叩いてゴールゲット。ストライカーのお手本となる鮮やかな動きに、ゴラッソのおまけつき。ウエスカはこれで3-0とし、勝利を決定づけた。

 岡崎はマインツ時代以来となるシーズン2ケタの12得点を記録し、ウエスカは2部優勝。1部昇格が決まったことで、契約1年延長のオプションが履行された。来季35歳を迎える岡崎がストライカーとしての姿を取り戻し、夢のラ・リーガ1部に挑戦する。

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