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久保建英への評価が分かれた。
マジョルカなら十分だがレアルでは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 しかし、自陣でいくらボールを奪っても、戦局を動かすのは難しい。

 久保は右サイドでボールを受け、オカンポス、トーレスを外し、右サイドに展開し、攻撃の糸口を作っている。しかし、それが限界だった。右サイドで対峙したレギロンはレアル・マドリードのレンタル選手で、久保と同じ立場だが、そこで勝負するようなボールを受けることができなかったのである。

 そして前半40分、マジョルカはやや不運なVAR判定でPKを与え、先制点を許してしまう。

 後半、リードされたことで、久保は反撃の意志を見せた。カウンターで自陣からボールを持ち上がり、スルーパスを狙う。相手選手のプレスを外し、中に入って、縦パスを入れ、そのリターンを受け、右足を力強く振る。どちらもブロックされたが、敵を脅かした。しかし気負いによってボールを失う機会も増え、状況を打開するには至らなかった。

 そして84分、マジョルカはセットプレーにかけ、ゴール前に人を集めたが、得点を生み出せず。逆に相手GKの1本のパスをディフェンスが裏を取られ、GKの頭上を抜かれる。2失点目を喫し、敗北は決定的になった。

 85分、久保はパブロ・チャバリアと交代でベンチに下がっている。それはチームが白旗を上げたに等しい。大勢が決した試合よりも、次の一戦に向け、再開後9試合連続先発出場のエースを少しでも温存したかったのだろう。

 セビージャ戦、久保への現地紙の評価は大きく分かれた。マドリードに本拠を置く『アス』紙は、チーム最低の0点(0~3の4段階)と厳しい評価だった。一方、バルセロナに本拠を置く『エル・ムンド・デポルティーボ』紙はチーム最高の3点(1~4の4段階)と高得点を与えている。

 視点の置き方で、評価が極端に変わるのだろう。レアル・マドリードのレギュラーになるには、この日のパフォーマンスは物足りない。マジョルカの一選手としては、十分に可能性を示していた。厳しい評価が、むしろ久保の成長の証左だ。

 残り2試合、久保は有終の美を飾れるか。

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