2020.07.13

久保建英への評価が分かれた。
マジョルカなら十分だがレアルでは?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「相手は残留を争い、難しい試合だった」

 セビージャの指揮官であるフレン・ロペテギは、マジョルカ戦をそう振り返っている。

「しかし我々もシーズンを通し、欧州チャンピオンズリーグ出場権を目指して戦ってきた。負けるわけにはいかなかった。暑さの中での試合で厳しかったが、選手たちは前線からよくプレスをかけ、ボールを回し、勝利をつかみ取ってくれた」

 ロペテギ監督の言葉は、戦いをよく表現していた。

 セビージャは、マジョルカよりも戦力的に明らかに格上である。相撲なら、大関と前頭15枚目ほどの差があるだろう。マジョルカではレギュラーのアレハンドロ・ポゾはセビージャからのレンタル選手で、出場機会を求めてやってきた。セビージャのサッカーは、あらゆる強度で勝っていた。アンダルシア特有のまとわりつくような暑さにも負けず、ぐいぐいと敵陣に入り込み、技量でも違いを見せたのだ。

 マジョルカの久保建英は渾身で挑んだが――。

セビージャ戦に先発したが、見せ場をつくれなかった久保建英(マジョルカ) 7月12日、リーガ・エスパニョーラ第36節。18位のマジョルカは4位セビージャの本拠地サンチェス・ピスファンに乗り込み、一戦を交えている。残留に向け、勝利を目指した。

 しかし、試合開始直後から実力の違いは明白だった。組み合っただけで、力の差が伝わってきた。

 セビージャは中盤中央のフェルナンド・レゲス、ジョアン・ジョルダンが強力で相手を寄せ付けない。センターバックのジュール・クンデ、ディエゴ・カルロスもパワーを感じさせ、エベル・バネガは長短のパスでリズムを生み出した。ヘスス・ナバス、セルヒオ・レギロンのサイドバックは高い位置を取って攻撃に厚みを加え、サイドのルーカス・オカンポス、オリベル・トーレスと連携し、一気になだれ込む。攻撃を浴びた後のカウンターも迫力満点だった。

 マジョルカはプレッシングとリトリートを併用し、守備から入って隙を窺うしかない。

 久保は前半、自陣で二度、パスカットに成功している。相手の癖を素早く見抜けるのだろう。アンドレス・イニエスタもそうだが、サッカーIQが高く、それを攻撃だけでなく、守備にも使える。体の使い方と周りの選手との関係性で、すばらしい読みを見せていた。