リキ・プッチはバルサの希望。
歴代の名手が持つ決定的能力を備える (2ページ目)
無料会員限定記事
このシステム変更で最も恩恵を受けたのはグリーズマンだろう。左ウイングとして起用されてきたグリーズマンは不振にあえいでいた。ウイングと言ってもメッシの対角なので、守備の時には下がらなくてはならない。メッシとスアレスが前線に残る実質2トップだからだ。
ネイマールはこの役割を何とかこなしていたが、グリーズマンはメッシとの関係をつくりきれず、バルセロナにおける居場所を見つけられずにいた。しかしここにきて、スアレスと並ぶ2トップとして中央でプレーできるようになり、メッシとの関係性も見出しかけている。
セティエン監督は、命題と言えるメッシを軸とした新たな構成を土壇場で見出したようだ。ゴールからアシストへ比重を移すべき時期にあったメッシのため、グリーズマンを復活させるため、そしてプッチを起用できる余地を得るための方法を、ぎりぎりのタイミングで見つけた。
<1歩の速さという武器>
昔から最高クラスの名手は、小柄と決まっている。
アルフレッド・ディ・ステファノ、ペレ、フェレンツ・プスカシュ、ディエゴ・マラドーナがそうで、上背があるスーパークラスにはベッケンバウアーがいるが、ポジションはDFだった。相手に囲まれたなかで最高のプレーをするためには、どうやらサイズ制限があるようなのだ。
現在でも小さな名手は何人かいる。ナポリのロレンツォ・インシーニェとドリース・メルテンスは共に170cm以下、日本の誇るテクニシャンである中島翔哉も167cmである。
彼らの利点は「一歩」が速いことにある。
サッカーでは100m走のタイムはあまり参考にならない。100mを走りきる機会などほとんどないからだ。3歩ぐらいの初速がより重要で、相手の隙間でプレーするタイプならなおさらスペースはないので、1歩の速さが決定的である。プッチにあるのは、この1歩の速さだ。
サッカーで最上級の身体能力と言っていい1歩の速さだが、実は計測する方法がない。スプリント力は少なくとも10メートルは走らないとタイムを計っても意味がなく、幅跳びでわかるのも筋力でしかない。1歩の速さは数値には表れないので、実際のプレーで表現できているのを確認するしかないわけだ。
全文記事を読むには
こちらの記事は、無料会員限定記事です。記事全文を読むには、無料会員登録より「集英社ID」にご登録ください。登録は無料です。
無料会員についての詳細はこちら