バルサらしさの消失。首位陥落よりも未来を左右する深刻な問題がある (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 2人はテンポよくボールを動かし、プレーにスピードを与え、推進力を生み出し、存分に"バルサらしさ"を演出していた。

 エースのリオネル・メッシは、2人の若手とパス交換するたび、プレーの精度を増していった。バルサ本来のオートマチズムの心地よさか。預けたら、戻ってくる。そのリズムに身を浸しながら、プレースピードをどんどん上げた。

 メッシの感覚は鋭敏になっていた。象徴的なのが、前半20分のFKの場面だろう。直接狙えるところだったが、敵の対策を計算し、フリーになっていたルイス・スアレスに合わせ、ゴールを生み出した。スアレスとは、阿吽の呼吸だった。敵陣でボールを奪い返した後、メッシがスアレスに折り返し、反転からのシュートで奪った2点目も同様だ。

 バルサのサッカーの本質は、コンビネーションにある。

 一方、ラ・マシア組以外はノッキングする選手が多かった。サムエル・ウムティティの起用はひとつのミステリーで、「Indescifrable」(解読不能)という雑なプレーの連続。ネルソン・セメドは抜群の身体能力で強度は高いが、依然としてコンビネーションは合っていない。アルトゥーロ・ビダルもこの日に関しては、ブレーキになっていた。

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