2020.06.17

フランス式おもてなしに感心。
ユーロ2016で生まれた傑作スタジアム

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 ドイツ対イタリアのキックオフは21時。終着駅に着いた瞬間、TGVの最終でボルドーからパリに戻る試合後の予定を心配した。試合後、トラムという脆弱な輸送システムに満員の観客が群がれば行列となり、1時間やそこらは乗車できない可能性がある。とすれば、パリに戻るTGVの最終に乗り遅れてしまう。憂鬱な気持ちになりながら、駅からスタジアムへの道を歩き始めたものだ。

 ところが、スタジアムの姿が大きくなるにつれ、気分はV字回復していく。スタジアムの外観に目が奪われたからだ。

 無数の円柱形のポールにスタンドが支えられたスタジアム。まさにアテネのパルテノン神殿をモチーフにしたような荘厳で斬新な外観だった。2年前、ブラジルW杯で最も感激したスタジアムが頭をよぎるのは当然だった。

 ブラジリアのナシオナルが、ラウンド感を帯びていたのに対し、ボルドーの新スタジアムはスクエア。「丸形」対「箱形」の違いはあれど、外観のコンセプトは同じ。エドゥアルド・カストロ・メロというブラジル人が設計したナシオナルの竣工が2013年5月であるのに対し、ボルドーの新スタジアムは着工が2012年11月で開場が2015年5月。アイデアを真似るのは時間的にいささか厳しいだろう。