香川真司をサラゴサ首脳陣は信頼できず。1部昇格でも立場は危うい

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

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リーガに挑んだ日本人(14)

 2019年8月、リーガ・エスパニョーラ2部、レアル・サラゴサの本拠地ラ・ロマレダは沸き返っていた。

 日本代表MF香川真司がトルコのベジクタシュから入団。お披露目のセレモニーには、7000人ものファンが集まった。ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドという欧州のビッグクラブに在籍してきたスター選手が、リーガ2部を戦いの舞台に選ぶ――。それは凋落の憂き目に遭う古豪クラブに、十分な栄誉を与えた。

サラゴサでここまでリーグ戦23試合に出場、2得点の香川真司サラゴサでここまでリーグ戦23試合に出場、2得点の香川真司「衝撃的で、夢のようなこと」

 サラゴサの名将ビクトル・フェルナンデス監督は、香川の獲得を最大限の賛辞で形容している。

 日本代表の10番を背負ってきた香川は、英雄視されて迎えられた。しかし、コロナ禍によるリーグ戦中断前、日本人MFは先発から外される機会が日常化していた。

 序盤戦の香川は、控えめに言っても"主役級"の存在感だった。開幕から5試合は2得点。とにかく、ボールを奪われない。ゴール前でボールを受けた時のアイデアは、群を抜いていた。技術的には1部のクラブの主力選手に匹敵。チームも首位を争っていたことで、"降臨したメシア"のようだった。

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