歴代監督曰く、プジョルがいなければバルサの攻撃サッカーは成立しない (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Denis Doyle/Getty Images

 2004-05シーズン、守備の屈強さが余裕を生み出す。周りの信頼を勝ち取り、主将の腕章を巻くようになった。リーダーシップを発揮し、味方だけでなく敵からも一目置かれた。

 そして、ひとつの深みに到達したのが、2005-06シーズンだ。

 守備で敵を完全に押し返すと、攻撃でも後ろから支えた。無骨だが、目を引く縦パスも入れられるようになった。プレッシングに動じず、迅速な判断で回避し、ゲームを構築。ついにUEFAの最優秀DF賞を受賞した。

 以来、プジョルは世界最高のディフェンダーのひとりに数えられるようになった。成長カーブの角度で、彼以上の守備者はいない。それは闘争によって生み出されたものだ。

――バルセロナではアタッカーばかりが優遇されるが、嫉妬は?

 プジョルに、あえてその質問をぶつけた。

「そんなものはないさ。俺は現実を受け入れるだけ。バルサでディフェンスの任務を遂行するのは難しいが、それなりのやり方はある。多くの選手が攻撃的で前に上がりたがるから、守備の選手も自陣で守っていられない。自陣に張り付けば、中盤のスペースを敵に蹂躙(じゅうりん)され、守り切れなくなる。だから、前で守備をして中盤の穴を埋め、しっかりと攻撃につながるプレーを心掛けている」

 少しも誇張がない、過不足のない答えだった。プジョルらしい。

「対戦した選手たちとの"立ち合い"が、自分を成長させてくれたんだよ」

 プジョルは静かに言った。

「過去、自分が対戦した選手では、フィーゴが一番苦労した。少しでもスペースを与えると、間合いに入られる怖さがあった。『完封』と絶賛されたけど、いつやられてもおかしくなかったよ」

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