レアルのサンス会長時代の栄華。
マドリディスモの化身、ラウルの登場

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ゴールで勝利をもたらすカリスマだった。

 1994年のデビューから2010年の退団まで、リーガで6度、トヨタカップ(クラブW杯)で2度、そしてCLで3度優勝している。ディ・ステファノ、アマンシオ・アマーロ、ブトラゲーニョが築いてきた誇り高き"勝者の歴史"を継承。相手のファウルに対してもほとんど声を荒げず、黙々とプレーした。荒ぶる魂をじっと体の奥に潜ませ、苛烈に戦った。

「ラウルは虎の目をしている。ゴールを取るまで、絶対にくたばることはない。瀕死の状態になっても相手を噛み殺す」

 スペイン代表を率いていた名将ルイス・アラゴネスは、その本性について語っている。執念が悪辣には映らない。気品を損なわず、敵にも尊敬される王者だった。

 しかし、マドリディスモの化身のようなラウルも、時代の流れに弄ばれる。2000年代に入って、レアル・マドリードは"外国人スター軍団化"。サンス会長が退き、フロレンティーノ・ペレス会長が就任すると、「銀河系軍団」という時代が幕を開けたのだ。
(つづく)

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