低迷していたバイエルンを立て直した新監督。譲れない点が2つある (4ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

 もうひとり、バイエルンの育成機関からトップチームに定着しつつあるのが、U-19オランダ代表ストライカーのジョシュア・ジルクゼーだ。プロデビューとなった昨年12月の第16節フライブルク戦では、1-1で膠着した試合終盤に登場。アディショナルタイムにファーストタッチで決勝点となる初ゴールを決めた(試合は3-1で勝利)。

 2017年に16歳でバイエルンにやって来たジルクゼーは、U-19、U-23でプレーを重ね、フリックの監督昇格とともにトップチームのメンバーに入った。193cmの恵まれた体躯を武器に、ポストプレーヤーとしてボールを引き出し、ペナルティーエリア内では相手が嫌がる危険なスペースを見つける"嗅覚"がある。フリックは、「(ケガで欠場している)レバンドフスキの穴を埋められるとすれば、ジルクゼーだろう」と期待を寄せている。

 ここまでチームを成長させたフリックだが、自身はまだ契約延長のサインをしておらず、イングランドの複数のクラブからオファーが届いているという。バイエルン側も、まだ条件を提示していない。

 フリックは、自分が監督として働くうえで、2つの譲れない点があるとしている。1つ目は、「クラブに明確なアイデンティティ、プレーのコンセプトがあること」。バイエルンのコンセプトは、フリックの目指すサッカーと合致しているか? クラブは、監督がそれを実現できると確信しているか? 監督とクラブのアイデンティティが合致しているのかどうか。

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