王者リバプールの敗因。クロップはシメオネの土俵で戦ってしまった (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

 サッカーの中身の話をすれば、ボールを持たされてしまった点を挙げたくなる。延長戦を含む120分のボール支配率は、64%対36%で、リバプールに軍配が挙がった。0-1で敗れたアトレティコホームでの初戦もしかり(67%対33%)、だった。

 リバプールは、ボールを保持することを売りにするチームではない。4-3-3を布くチームは、ボールを奪われにくい場所とされるサイドに、拠点を作ろうとするものだ。しかし、リバプール型4-3-3は、両サイドにサディオ・マネとモハメド・サラーという強力FWを擁すこともあって、サイドにタメを作らず、縦に速く進もうとする。両ウイングと両SBがコンビネーションを発揮しながらサイドを丹念に突く4-3-3とは、一線を画している。

 いわば速攻型の4-3-3だが、こうしたチームが64%ボールを保持すれば、得意とする本来の形を披露する時間は逆に減る。ちなみに、先述した昨季の準決勝バルサ戦のリバプールの支配率は、0-3で敗れた第1戦が53%で、4-0で勝利した第2戦が43%だった。リバプールの特徴を示す、これはいい例になる。

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