バルサはスアレスの代役探しが佳境。「9番」を必要とするチーム事情
1月25日、バルセロナは敵地に乗り込み、バレンシアに0-2で完敗している。エルネスト・バルベルデに代わってキケ・セティエンが監督に就任。その初戦となるグラナダ戦は80%以上のボール支配率で勝利し、戦勝ムードに湧きかえっていたが、水を差されることになった。
「たしかに、いい出来ではなかった。特に前半は」
セティエン監督自身が、ふがいないプレーを認めている。パスを回し続けたが、そのリズムは緩慢で、ほとんど相手を脅かせていない。
「敵ゴール前への道を見つけることができなかった。ふるまいの問題ではない。選手は責務を果たそうとしていた。ただ、しっかりプレーを理解できない部分があって、意味のないパスが多かった。ポゼッションするだけになってしまい、相手を脅かす奥行きのあるパスが足りなかった」
セティエンは、バルサらしいプレーモデルを取り戻すための戦いに着手した。あくまで、一歩を踏み出したばかり。試行錯誤が続くのは当然だ。
バレンシアに2点目を奪われ、呆然とするリオネル・メッシとフレンキー・デ・ヨング(バルセロナ) バルサは自らの戦いを取り戻し、時代にアップデートできるのか――。
セティエンが戦いを軌道に乗せるには、時間がかかるかもしれない。
「9番(センターフォワード)不在」
それがバルサの目下の悩みである。
エースのウルグアイ代表FWルイス・スアレスが今年1月のスペインスーパーカップで膝を怪我し、今シーズンの復帰は絶望的。スアレスはリーグ戦で11得点を記録し、今シーズンも欠かせない存在だった。バルサは昨シーズンも途中でケビン=プリンス・ボアテング(現フィオレンティーナ)を補強したように、バックアッパーはいない。
そこで今季も連日、獲得候補FWの名前が紙面をにぎわせている。一時は、アラベスのアルゼンチン人FWチミー・アビラに絞られたが、直近のゲームで左ひざを負傷し、シーズン終了まで復帰は不可能に。9番探しは振り出しに戻った。
本来ならバルサBから若手FWを引き上げたいところだろう。しかし、バルサBでは安部裕葵が"偽9番"を任されている(今年1月にはアルバニア代表FWレイ・マナイと契約した)。つまり、9番でしかるべき人材を欠いているのが現状なのだ。
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