メッシの私生活を守る豪邸。
スーパースターが欲しがる物件の条件は?
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】
サッカー選手はどんな家に住んでいるのか(後編)
移籍市場が開いている今、新しいクラブに移った選手は、どんな家をどんなふうに選んでいるのか。
バルセロナ郊外の山に囲まれた村で暮らすリオネル・メッシ(バルセロナ)一家 photo by AFP/AFLO クラブとしては選手たちを、彼らの仕事場(つまり練習場だ)に近い静かな町に落ち着かせたい。何年か前にマンチェスター・シティの練習場で、僕は受付カウンターのすぐ後ろの壁にマンチェスター周辺の地図が貼られているのを見つけた。通りすぎる選手の目に嫌でも入るようになっている。
地図は選手が住むのにおすすめの8つの地域を目立つようにしていた。ナイトライフが充実しているマンチェスターの中心街は、当然ながらおすすめに入っていなかった。
マンチェスターから150キロ圏内には、43のプロフットボールクラブがある。おそらく世界で最もフットボール選手の人口密度が高い地域だろう。
「このあたりでは、フットボール選手は同業者がいるエリアに家を持ちたがる。チームメイトが最近、家を買ったところだとか」と、不動産会社サビルズ・ウィルムスロウのアンドルー・ソープは言う。
この地域では、フットボール選手が高級不動産市場をほぼ独占している。サビルズ・ウィルムスロウで賃貸物件を担当するトム・バークによれば、このエリアのファミリー向け物件の最高額は月5000ポンド(約70万円)程度。しかし、プレミアリーグの選手が相手なら、5000ポンドが最低額になるという。
「フットボール選手を狙って賃貸物件を建てる不動産業者もある。想定している賃料で借りられるのはフットボール選手くらい、という物件だ」
賃料が問題になることは、ごくまれだ。バークが最近経験した例では、週給15万ポンド(約2000万円)を超える選手が、月2万ポンド(約280万円)の物件にいい顔をしなかった。理由は──選手の考えていた予算が月1万8000ポンド(約250万円)だったからだ。
そうかと思えば、こんなゆるい交渉で、簡単に契約が決まることもあるという。
選手「え、いくらだって?」
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