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バルサはスアレスの代役探しが佳境。
「9番」を必要とするチーム事情 (2ページ目)

  • 小宮良之●文章 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 セティエンは、バルサBのFWアベル・ルイスとアレハンドロ・マルケスをトップに帯同させたが、起用に踏み切っていない。代わりにアントワーヌ・グリーズマン、リオネル・メッシを"偽9番"に採用。マルケスはすでに、820万ユーロ(約10億円)でユベントスへの移籍が決まった。

 スペイン国王杯の3回戦、イビサ戦ではグリーズマンが2得点。得点源となるだけのプレーを見せた。チーム得点王のメッシもいる。フィニッシャー自体はいるのだ。

 問題は、9番がいないために前線での動きが少なく、パスコースが乏しく、相手に圧力をかけられない点にある。9番はポストワークで敵センターバックと渡り合い、様々な駆け引きができる。くさびを受けるだけでなく、裏を取る動きなど、堅固に見える守備陣形をかき回せる。心理的にも肉体的にも相手DFにストレスを与え、その成果で周りを生かせるのだ。

 パスワークを重視した場合、ボール技術の高い"偽9番"の起用もひとつの策だろう。しかし、彼らはDFとの肉体的コンタクトに難がある。相手と体をぶつけあい、ジャンプなども含めて、DFの脚を使わせ、消耗させることができない。

 相手に打撃を与える、ストライカーが必要なのだ。

 バルサで一時代を築いた指揮官も同じだった。ヨハン・クライフもジョゼップ・グアルディオラも、必ずしも9番を好んだわけではない。しかし結果的に、フリオ・サリナス、ロマーリオ、サミュエル・エトー、ダビド・ビジャを重宝せざるを得なかった。

 セティエンはまず、9番の選択を迫られる。スペイン代表FWロドリゴ(バレンシア)とは契約交渉が大詰めと言われる。その資金繰りのために、カルレス・ペレスを1500万ユーロ(18億円)でローマに売り払う流れだ。

 セティエン・バルサには、9番の問題以外にも解決すべき事柄は多い。イヴァン・ラキティッチ、サムエル・ウムティティのプレーは不安定。3バックの一角のような位置を取るセルジ・ロベルトも、明らかに精彩を欠いている。期待の17歳アンス・ファティも、右サイドでは低調だ。

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