今季CLはビッグクラブが盤石。パリ、バルサ、ユーベが好調な要因は? (4ページ目)
倉敷 バルサはキケ・セティエンに変わりました。簡単に監督交代の経緯などにも触れていただけますか?
小澤 成績不振による解任でないことは明らかです。ラ・リーガでは首位、CLもグループステージで低調な試合もあったとはいえ首位通過、コパ・デル・レイもこれから参加ですので、チームとしてはまだトリプレテ(三冠)の可能性を残した状態です。サウジアラビアで初開催となった4チーム参加型、新フォーマットのスーペル・コパの準決勝アトレティコ・マドリード戦で敗れたとはいえ、スペインサッカー連盟が無理やりつくった大会フォーマットですので、タイトルがマストの大会ではありません。
その意味でも、この解任劇はジョゼップ・マリア・バルトメウ会長以下、経営陣の理不尽な手法が大きく批判されています。背景に2021年夏に迫った会長選挙、つまり政治があることは間違いありません。バルトメウ会長は出馬しませんが、自分たちのチーム、路線で次期会長選挙も勝利したいと考えています。しかし、現状では実業家のビクトル・フォント陣営が優勢で、実質的にシャビ・エルナンデスの監督就任やカルレス・プジョルのフロント入閣が内定しています。
このタイミングで対抗馬の監督に内定しているシャビに監督を打診していることから見ても、バルトメウ陣営の焦りが出ていますが、博打に失敗したというのが現地メディアの分析です。キケ・セティエンの就任会見で「以前から複数の監督候補と話をしていた」と明かしたことからもわかるように、今季のエルネスト・バルベルデはいつ解任されてもおかしくない状態だった。そのような死に体でよくここまでの成績に持ってきていたな、やはりバルベルデは有能な監督だ、というのが私の率直な感想です。
倉敷 中山さんはこの監督交代をどう考えますか?
中山 フロント陣による苦渋の決断だったと思います。ただ、リアリズムのバルベルデに対して、キケ・セティエンは理想を追求する指導者だと見ているので、個人的にはバルサらしいサッカーに変化することを期待しています。もっとも、手術をしたルイス・スアレスが不在の間にCLで負けることがないようにしないと、今度は結果が出せなかったことに対する批判を浴びるでしょう。ラス・パルマスやベティスを率いていた時代も、魅力的なサッカーをしながら、結局は結果の部分でチームを去ることになってしまった監督なので、そこは心配な部分ですね。
倉敷 では、監督の能力などに関してはひとまず置いて、選手のパフォーマンスの印象などを話しましょう。バルサはシーズン序盤と比べて、アントワーヌ・グリーズマンがフィットしてきたのが大きいですね。
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