2020.01.23

久保建英と香川真司。日本の新旧
エースの対戦で見えた「現在地」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

<日本人対決>

 そんな表現はすでに古めかしい。今の欧州サッカー界ではとくに珍しいことでもないだろう。

 そうは言っても、日本代表の新旧エース同士の対戦は、やはり関心を引く。ベスト16進出をかけたスペイン国王杯3回戦。香川真司(30歳)のサラゴサと、久保建英(18歳)のマジョルカの戦いは、シーズンを折り返したふたりの現在地を知るための基準になるかもしれない。

スペインで初めて対戦した香川真司(サラゴサ)と久保建英(マジョルカ) 結果から言えば、2部のサラゴサが1部のマジョルカを3-1で撃破している。内容でも明らかに優勢だった。

「ベスト16へ、サラゴサのフェスティバル」

 スペイン大手スポーツ紙『as』は、そう見出しで報じている。

 サラゴサのビクトル・フェルナンデス監督は、かつてパブロ・アイマールを中心にした攻撃サッカーを作り出した。スカウティングによって優れたボールプレーヤーを集め、バックラインから論理的に組み立て、プレスを回避しながら相手のラインをきれいに越える。能動的な戦いの仕組みを、チームに植え付ける手腕の持ち主だ。

 マジョルカ戦も、サラゴサはボールを握る力、運ぶ力で勝っていた。先制点は顕著だった。自陣でプレスに遭いながら、小気味よいパスで次々に外し、左サイドまで展開。敵の守備陣が後手を踏んだところ、バックラインの前で香川がボールを受け、得点をアシストした。その後も、鮮やかにカウンターを決め、一本の縦パスでも得点を追加し、完勝だった。

 香川は昔、アイマールがそうだったように、フェルナンデス監督が好むアタッカーと言える。2トップの一角で、相手のMFとDFの間でボールを受けながら、チャンスを作り出していた。前半にはFKをバーに直撃させ、キックの質の高さも見せている。

 発熱や慢性的なケガもあり、香川には序盤戦で2得点した時の勢いはない。クラブはコンディションを心配し、移籍話も浮上した。だが、勝負どころでの技術の高さは白眉。一瞬の動きで相手を外す動きは健在で、タイミングをずらせて通すパスも際立っており、その存在は欠かせない。サラゴサはMFハビ・ロス、FWルイス・スアレスなどスキルが高い選手を揃えており、相乗効果も期待できる。