2020.01.14

バルサ指揮官交代の非情と舞台裏。
「新監督シャビ」はこうして消えた

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Agencia EFE/AFLO

 キケ・セティエンがバルセロナの新監督に就任することが決まった。

バルセロナの監督に就任したキケ・セティエン すでにバルサはエルネスト・バルベルデ監督の解任を決定。シャビ・エルナンデス、ロナルト・クーマン、マウリシオ・ポチェッティーノなどを次期監督候補にリストアップし、交渉に入っていた。その中にあって、セティエンは「クライフイズム」の信奉者であり、ベティスで攻撃的なサッカーを実現させた。現在はフリーで、後任に最適の人物だった。

 決定直前、スペイン大手スポーツ紙『マルカ』はWebサイトで次期監督に関するアンケートを実施。セティエンは最多28%の支持を勝ち取っていた。その意味では自然な人事とも言える。

 しかし、非情な決断でもあった。バルベルデのバルサはリーガ・エスパニョーラで首位に立ち、チャンピオンズリーグ(CL)でも決勝ラウンドに駒を進めていた。昨季までリーガを連覇している指揮官でもあるのだ。

「今回のやり方は、あまり見栄えがいいとは言えない」

 監督交渉が露見した時点で、OBのアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)までが苦言を呈していた。

 バルベルデ解任から新監督セティエン誕生の経緯とは――。

 1月9日、サウジアラビアで開催されたスーパーカップ準決勝だった。バルサはアトレティコ・マドリードと戦い、2-3と逆転で敗れている。無残な敗北が、解任の引き金になった。

 1月10日、ドーハ。バルサの幹部たちは、カタールのアル・サッドで監督を務めるシャビ・エルナンデスと緊急に会談している。そこで、2年半での監督契約を打診。その事実が、一斉に報道されることになった。

「エルネスト・バルベルデはもう限界」

 バルサの幹部は、そう決断を下していた。

 バルベルデは1シーズン目からチームに安定をもたらし、リーガ・エスパニョーラでは2連覇を達成している。前任者のルイス・エンリケと違い、落ち着いた様子でメディアに対処。選手のマネジメントでも、ほとんどトラブルを起こしていない。監督としての実績は評価されるべきだろう。