6年かけて1部のレギュラーに。ファン・ウェルメスケルケン際の生き方
日本人が欧州のトップレベルのクラブに移籍するには、最初のクラブ選びと、早い段階でインパクトを残すことが重要だと言われている。たとえば堂安律は、オランダリーグ中堅のフローニンゲンでの安定したパフォーマンスが評価され、オランダにしっかり慣れたうえで名門PSVへ移った。
リバプールに移籍した南野拓実の場合、ザルツブルク(オーストリア)での丸5年は長かったようにも見えるが、その間にリーグ戦、カップ戦で優勝、ヨーロッパリーグやチャンピオンズリーグ出場など、名門ならではの経験を十分に積んだ。"売却型"クラブのザルツブルクもまた、欧州での最初のクラブとしてステップアップを望む選手にとってはうってつけだった。
だが一方で、順調にスターダムへと駆け上がる選手たちとは対照的に、じっくりと時間をかけながら、着実に欧州でのステップを踏んでいく選手もいる。
オランダ1部リーグで先発出場を重ねているファン・ウェルメスケルケン際(ズヴォレ) ファン・ウェルメスケルケン際。1994年生まれで、南野とは同学年だ。オランダ人の父と日本人の母を持ち、2016年のリオデジャネイロ五輪前には五輪代表のポルトガル遠征やトゥーロン国際に招集されて注目されたこともある。今季からオランダ1部リーグのズヴォレに移籍し、レギュラーとしてプレーしている。U-23日本代表の中心選手のひとり、中山雄太はチームメイトだ。
昨年12月7日に行なわれたAZ戦後、0-3で敗れたにもかかわらず、際はこんなことを語っていた。
「思った以上に自分たちのサッカーができました。いいサッカーをしているなかで、相手は決めるところを決めて、こっちは決めるところで決められなかった。その差だと思います」
そして、すでに3-0となった71分から途中出場したAZの菅原由勢に、にっこり笑ってこんな激励の言葉を残した。
「(日本人選手が相手ということを)気にしてないといったら嘘になりますけど、試合に勝つことしか考えてないので。フレッシュな人が入ってきたという点は注意すべきでしたが、問題なくプレーできました。だから、『もっと頑張れ』と言いたいです」
1 / 3