欧州サッカーは格差がさらに拡大。加速するビッグクラブの成長 (2ページ目)
小澤 全体的に、最近のCLはクラブの年間予算がそのままラウンド16に反映されるような格差の時代に突入していて、トップクラブからスーパーリーグ構想の圧力をかけられるなか、UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)も現状を受け入れるしかないのだと思います。そういう意味では、分配金のことも含め、近年のCLは少しいびつな形になっていて、今季はそれが明確になった印象ですし、実質的に今のフォーマットでも欧州のメガクラブが構想するスーパーリーグ化が実現してしまったように見受けられます。
倉敷 できるだけ広い地域のクラブが出場できるようにCLを改革したのは、ミシェル・プラティニ前UEFA会長の時代でしたね。しばらくはそれほど大きくないクラブにもチャンスがありましたが、結局ぐるりと巡って、結果的に小澤さんがおっしゃったスーパーリーグ構想に近い形になりました。
中山 プラティニが改革に着手した時代のCLは、西ヨーロッパのマーケットだけではスポンサー収入が頭打ちになっていたことと、ちょうどロシアを中心とする東ヨーロッパの経済成長が著しかった背景もあって、そこに目をつけて新たなスポンサー獲得と広い地域でのファン拡大を狙ってレギュレーション改革に踏み切りました。プラティニにとっては、それによって会長選挙の票集めにもつながりますしね。
ただ、近年はその東ヨーロッパ経済の資源バブルも終わってしまい、さらに世界経済そのものが一極集中型になったことで格差はますます拡大してしまいました。サッカーのビッグクラブは、超お金持ちたちにとって絶好の投資対象でもあるので、結局、サッカー界も超格差社会の映し鏡のようになっている気がします。
2021年から開幕する予定の「UEFAヨーロッパリーグ2」も、UEFAがクラブ間格差のバランスをとるために無理やりつくった印象がありますし、アレクサンデル・チェフェリン現UEFA会長は難しいかじ取りを強いられていますよね。
倉敷 時代が変化するのは常ですが、今回はとくに種をまいた段階で予測した近未来とは違ってきました。お金先にありきはよくない。2022年のカタールW杯もそうですが、いろいろなことを早く決めすぎている気がします。未来予想図を描くのがとても難しい時代です。
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