2020.01.07

夢の舞台の、その先へ。南野拓実が
初陣で明かした感慨と反省

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 リバプールの本拠地アンフィールドに南野拓実が姿を現すと、約6年前の試合を思い出した。

 2013年7月26日、マンチェスター・ユナイテッドがアジアツアーで日本を訪れ、セレッソ大阪と親善試合を行なった時のことだ。英国在住の筆者は日本に戻り、この一戦を大阪の長居スタジアムで取材した。

 うだるような暑さのなかで行なわれた試合は、2−2の引き分け。セレッソ大阪の2点目を決めたのが、表情にあどけなさが残る当時18歳の南野だった。

アンフィールドでリバプールデビューを果たした南野拓実 ペナルティエリア外から右足でミドルシュートを放つと、ボールはゴール右上にきれいに吸い込まれた。取材ノートを読み返すと、先発したマンチェスター・UのDFリオ・ファーディナンドが「南野は将来的にプレミアでやれるかも」とコメントしている。そして南野も、「世界のああいうレベルのなかでやりたいという夢が、子どもの頃からある」と話していた。

 あれから6年半----。

 南野はセレッソ大阪からザルツブルクを経由し、リバプールの地に降り立った。2013年当時、おそらくリップサービスも含まれていたファーディナンドの言葉は、現実のものになったのだ。2015年に現役を引退したファーディナンドも、国内リーグの優勝回数で争う「宿敵リバプール」に、大阪で対戦した南野青年がやって来るとは夢にも思わなかっただろう。

 その南野が、新天地リバプールで第一歩を踏み出した。1月5日に行なわれたエバートンとのFAカップ3回戦。12月31日にチームに合流し、1日付けで晴れてリバプールの一員となった24歳の日本代表は、入団からわずか5日後の試合で先発メンバーに入った。

 試合前、リバプールの選手たちがアンフィールドのピッチに足を踏み入れると、熱心なサポーターが集う「KOPスタンド」から地鳴りのような歓声が鳴り響いた。南野はその声に応えようと、スタンドに向かって拍手。選手たちが互いの健闘を誓い合うためハグを交わしていくと、背番号18もアダム・ララーナ、ディボック・オリジの順で抱擁していった。