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勝っても晴れないバルサの暗雲。
次期監督候補の名前が取り沙汰 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 この変化も、ラ・マシアの若手を苦しめている。

 4-3-3の伝統を守ってきたラ・マシアでは、たとえば「4番」はプレーメーカーがつけるナンバーである。グアルディオラを筆頭に、シャビ・エルナンデス、イニエスタ、セスク・ファブレガスなどがその系譜にあたる。そのポジションはポゼッションを掲げるバルサにとって、プレーの土台だった。

 しかしその中盤でさえ、今や有力外国人選手に"占拠"されている。オランダ代表デ・ヨング、ブラジル代表アルトゥール、クロアチア代表イヴァン・ラキティッチ、チリ代表ビダルが同じポジションにいるのだ。

「もしトップチームでの出場機会が得られないなら、(移籍の)決断をしないといけない」

「4番」の系譜を継ぐMFリキ・プッチも、不満を露わにしている。

 プッチは有力外国人選手たちと比較し、総合力では及ばないだろう。コンビネーションを生み出す能力は高いが、小柄で経験も乏しく、まだ切磋琢磨する必要がある。しかし、メッシやセルヒオ・ブスケッツなどラ・マシア組とプレーすることで、その可能性は無限に広がる。かつてシャビやイニエスタがいることで、メッシやブスケッツが感化されたように、だ。

 同じくラ・マシア出身のMFカルラス・アラニャ-も、冬のマーケットでの移籍を示唆している。10代で"ミニ・スタディ(昨シーズンまでのバルサBのホーム)のマラドーナ"と言われたファンタジスタ。昨シーズンはトップチームで17試合に出場するも、今シーズンは開幕戦で先発したあと、ほとんど出場機会を得られていない。すでに21歳だ。

 バルベルデへの不信感は募る。

 次期監督候補には、ロナルド・クーマン、マルセロ・ガジャルドの名前が挙がっている。いずれも名将のひとりと言えるだろう。しかし、現在はそれぞれオランダ代表、リーベルプレートを率いる指揮官だ。

 そもそもクーマンはトラブルメーカーとしても知られ、性格が偏屈すぎると言われる。かつてのルイス・ファン・ハールと同じ混乱を生む可能性もある。一方、ガジャルドは同胞であるメッシのお気に入り。2019年のFIFA最優秀監督賞にもノミネートされている。その線は消えていないが、同じアルゼンチン人監督、タタ・マルティーノはバルサで惨憺たるありさまだった。

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