バルサが青田買いに血眼になる理由。
日本の17歳もターゲットに (2ページ目)
バルサのアイデンティティは下部組織「ラ・マシア」にある。カルレス・プジョルも、シャビ・エルナンデスも、アンドレス・イニエスタも、そしてメッシも、いずれもラ・マシア出身。バルサのメカニズムを体に染み込ませることによって、唯一無二のプレーを見せることができた。
しかし、経験も実力もある外国人を各ポジションに獲得することによって、ラ・マシアの若手の道は閉ざされる。ラ・マシアの至宝とも言われるアンス・ファティは、刮目すべき活躍を見せていたにもかかわらず、最近は出場機会がすっかりなくなった。カルレス・アレニャーもメンバー入り当落線上。また、リキ・プッチはバルサBが主戦場だ。
一方、バルサのユースに昇格せず、ディナモ・ザグレブに移籍したダニ・オルモはすでにチャンピオンズリーガーとして勇躍している。
「バルサはラ・マシアだ」
今のバルサの始祖とも言えるヨハン・クライフは言ったが、その伝統が崩れつつある。
「バルサの2人のスカウトが、ブラジルで開催されるU―17W杯で"宝石たち"を視察」
『エル・ムンド・デポルティーボ』はそんなタイトルで、若手発掘に力を入れる様子を特集している。その筆頭として、日本U―17代表の西川潤(セレッソ大阪)が紹介されていた。2020年に18歳になったあとに、契約する見込みとも言われる。安倍裕葵に続く日本人若手となるかもしれない。
ただ、18歳で契約する選手は、ほぼプレースタイルは確立されており、シャビ、イニエスタ、メッシとは自ずと違う。たとえば久保建英(マジョルカ)は、今でもバルサの匂いがする。単純にうまい、速いではなく、ボールの動かし方やポジションの取り方というのか。それは幼少期をバルサで過ごしたことによるものだ。
久保が帰国せざるを得なかったように、18歳未満の選手契約は禁止になってしまった。育成型のクラブは、岐路に立たされている。メッシのように若くして国外から選手を招くのに、条件が厳しくなったのだ。
はたして、メッシ後のバルサを誰が支えるのか?
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